2019年4月14日日曜日

「2よりも大きい、偶数の素数はない。」の「述語論理」。

―「返り点と括弧」に関しては、『「返り点」と「括弧」の関係(https://kannbunn.blogspot.com/2019/01/blog-post_21.html)』他をお読み下さい。―
(01)
数学では不等号を「≠」で表しますが、Excelでは「<>」で表すルールになっています。
従って、
(01)により、
(02)
 以下では、
「a≠b」を、
「a<>b」とし、
「a=b」を、
「a<>bではない。」とします。
(03)
(ⅰ)
1  (1)∀x{2<x&素数x→~∃y∃z(偶数y&整数z&x=yz)} A
1  (2)   2<a&素数a→~∃y∃z(偶数y&整数z&a=yz)  1UE
 3 (3)   2<a&素数a                      A
13 (4)           ~∃y∃z(偶数y&整数z&a=yz)  23MPP
13 (5)           ∀y~∃z(偶数y&整数z&a=yz)  4量化子の関係
13 (6)           ∀y∀z~(偶数y&整数z&a=yz)  5量化子の関係
13 (7)             ∀z~(偶数b&整数z&a=bz)  6UE
13 (8)               ~(偶数b&整数c&a=bc)  7UE
13 (9)               ~偶数b∨~整数c∨a<>bc   8ドモルガンの法則
13 (ア)              ~偶数b∨(~整数c∨a<>bc)  9結合法則
13 (イ)               偶数b→(~整数c∨a<>bc)  ア含意の定義
  ウ(ウ)               偶数b              A
13ウ(エ)                   (~整数c∨a<>bc)  ウエMPP
13ウ(オ)                     整数c→a<>bc   エ含意の定義
13 (カ)                偶数b→ 整数c→a<>bc)  ウオCP
13 (キ)             ∀z(偶数b→ 整数z→a<>bz)  カUI
13 (ク)           ∀y∀z(偶数y→ 整数z→a<>yz)  キUI
1  (ケ)   2<a&素数a→∀y∀z(偶数y→ 整数z→a<>yz)  3クCP
1  (コ)∀x{2<x&素数x→∀y∀z(偶数y→ 整数z→x<>yz)} ケUI
(ⅱ)
1  (1)∀x{2<x&素数x→∀y∀z(偶数y→ 整数z→x<>yz)} A
1  (2)   2<x&素数x→∀y∀z(偶数y→ 整数x→a<>yz)  1UE
 3 (3)   2<a&素数a                      A
13 (4)           ∀y∀z(偶数y→ 整数y→a<>yz)  23MPP
13 (5)             ∀z(偶数b→ 整数z→a<>bz)  4UE
13 (6)                偶数b→(整数c→a<>bc)  5UE
  7(7)                偶数b             7A
137(8)                    (整数c→a<>bc)  67MPP
137(9)                   (~整数c∨a<>bc)  8含意の定義
13 (ア)               偶数b→(~整数c∨a<>bc)  79CP
13 (イ)              ~偶数b∨(~整数c∨a<>bc)  ア含意の定義
13 (ウ)               ~偶数b∨~整数c∨a<>bc   イ結合法則
13 (エ)               ~(偶数b&整数c&a=bc)  ウ、ドモルガンの法則
13 (オ)             ∀z~(偶数b&整数z&a=bz)  エUI
13 (カ)           ∀y∀z~(偶数y&整数z&a=yz)  オUI
13 (キ)         ~~∀y∀z~(偶数y&整数z&a=yz)  カDN
13 (ク)         ~∃y~∀z~(偶数y&整数z&a=yz)  キ量化子の関係
13 (ケ)         ~∃y∃z~~(偶数y&整数z&a=yz)  ク量化子の関係
13 (サ)         ~∃y∃z~~(偶数y&整数z&a=yz)  ケ量化子の関係
13 (シ)           ~∃y∃z(偶数y&整数z&a=yz)  ケ量化子の関係
1  (ス)   2<a&素数a→~∃y∃z(偶数y&整数z&a=yz)  3シCP
1  (セ)∀x{2<x&素数x→~∃y∃z(偶数y&整数z&x=yz)} スUI
(04)
 ―「結合法則の証明」―
(a)
1    (1)P∨ Q∨R  A
 2   (2)P       A
 2   (3)P∨(Q∨R) 2∨I 
  3  (4)   Q    A
  3  (5)  (Q∨R) 4∨I
  3  (6)P∨(Q∨R) 5∨I
   7 (7)     R  A
   7 (8)  (Q∨R) 7∨I
   7 (9)P∨(Q∨R) 8∨I
1    (ア)P∨(Q∨R) 1234679∨E
(b)
1    (1)P∨(Q∨R) A
 2   (2)P       A
 2   (3)P∨ Q    2∨I
 2   (4)P∨ Q∨R  3∨I
  5  (5)  (Q∨R) A
   6 (6)   Q    A
   6 (7)   Q∨R  6∨I
   6 (8)P∨ Q∨R  7∨I
    9(9)     R  A
    9(ア)   Q∨R  9∨I
    9(イ)P∨ Q∨R  ア∨I
1    (ウ)P∨ Q∨R  1245イ∨E
従って、
(03)(04)により、
(05)
(ⅰ)∀x{2<x&素数x→~∃y∃z(偶数y&整数z&x=yz)}
(ⅱ)∀x{2<x&素数x→ ∀y∀z(偶数y→整数z→x<>yz)}
に於いて、
(ⅰ)ならば(ⅱ)であり、
(ⅱ)ならば(ⅰ)である。
従って、
(05)により、
(06)
(ⅰ)∀x{2<x&素数x→~∃y∃z(偶数y&整数z&x=yz)}
(ⅱ)∀x{2<x&素数x→ ∀y∀z(偶数y→整数z→x<>yz)}
に於いて、
(ⅰ)=(ⅱ) である。
従って、
(06)により、
(07)
(ⅰ)すべてのxについて、xが2より大きい素数であるならば、あるyが偶数で、あるzが整数である際に、xが、yとzで割りきれる。といふことはない。
(ⅱ)すべてのxについて、xが2より大きい素数であるならば、すべてのyと、すべてのzについて、yが偶数ならば、zが整数ならば、xは、yとzでは、割り切れない。
に於いて、
(ⅰ)=(ⅱ) である。
然るに、
(08)
(ⅰ)すべてのxについて、xが2より大きい素数であるならば、あるyが偶数で、あるzが整数である際に、xが、yとzで割りきれる。といふことはない。
(ⅱ)すべてのxについて、xが2より大きい素数であるならば、すべてのyと、すべてのzについて、yが偶数ならば、zが整数ならば、xは、yとzでは、割り切れない。
といふことは、
(ⅲ)2よりも大きい、偶数の素数はない。
といふことに、他ならない。
従って、
(06)(07)(08)により、
(09)
(ⅲ)2よりも大きい、偶数の素数はない。
といふ「日本語」は、
(ⅰ)∀x{2<x&素数x→~∃y∃z(偶数y&整数z&x=yz)}
(ⅱ)∀x{2<x&素数x→ ∀y∀z(偶数y→整数z→x<>yz)}
といふ「述語論理」に、翻訳される。
然るに、
(10)
一階述語論理(いっかいじゅつごろんり、first-order predicate logic)とは、個体の量化のみを許す述語論理 (predicate logic) である。述語論理とは、数理論理学における論理の数学的モデルの一つであり、命題論理を拡張したものである(ウィキペディア)。
従って、
(09)(10)により、
(11)
「述語論理」は、例へば、
(ⅰ)2よりも大きい、偶数の素数はない=∀x{2<x&素数x→~∃y∃z(偶数y&整数z&x=yz)}。
(ⅱ)2よりも大きい、偶数の素数はない=∀x{2<x&素数x→ ∀y∀z(偶数y→整数z→x<>yz)}。
といふ「命題」を「表現」するために、発明されたのであって、例へば、
(ⅲ)虎百獸を求めて之を食ひ、狐を得たり=∃y{虎y&∀x[獸x→求yx&食yx&∃z(狐z&獸z&得yz)]}。
といふ「命題」を「表現」するために、発明されたのではない。
といふ、ことになる。
平成31年04月14日、毛利太。

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