2019年4月27日土曜日

「選言除去の規則(∨E)」について。

―「返り点と括弧」に関しては、『「返り点」と「括弧」の関係(https://kannbunn.blogspot.com/2019/01/blog-post_21.html)』他をお読み下さい。―
(01)
正確に述べようとすると複雑であるが、「選言除去の規則(∨E)」は、全く自然の推論の原理に合致している。AあるいはBである、すなわちAあるいはBの一方が真であるとし、またAを仮定すればCが真であることが示しうる。すなわちAが成り立てばCが成り立つとし、またBという仮定からもやはりCが成り立つことを示しうる、すなわちBが成り立てばCもまた成り立つ、としよう、そうすれば、いずれにせよCは成り立つ(論理学初歩、E.J.レモン 著、 竹尾治一郎 ・浅野楢英 訳、1973年、30頁)。
(02)
P=今日は晴天である。
Q=今日は雨天である。
R=今日は日曜である。
とする。
然るに、
(03)
(a)
1   (1) P∨Q        A
 2  (2)   R        A
  3 (3) P          A
 23 (4) P&R        23&I
 23 (5)(P&R)∨(Q&R) 4∨I
   6(6)   Q        A
 2 6(7)       Q&R  26&I
 2 6(8)(P&R)∨(Q&R) 7∨I
12  (9)(P&R)∨(Q&R) 13568∨E
(b)
1   (1)(P&R)∨(Q&R) A
 2  (2) P&R        A
 2  (3) P          2&E
 2  (4) P∨Q        3∨I
  5 (5)       Q&R  A
  5 (6)       Q    5&E
  5 (7)     P∨Q    6∨I
1   (8) P∨Q        12457EE
 2  (9) R          2&E
従って、
(01)(02)(03)により、
(04)
(1)今日は晴天であるか、または、今日は雨天である=P∨Q。
(2)今日は日曜である=R
といふ「仮定」から、
(9)今日は晴天の日曜であるか、または、今日は雨天の日曜である=(P&R)∨(Q&R)。
といふ「結論」が、「選言除去の規則(∨E)」によって、導かれ、尚且つ、「逆もまた、正しい」。
然るに、
(05)
(c)
1   (1) P∨Q        A
 2  (2) R          A
  3 (3) P          A
 23 (4) P&R        23&I
   5(5)   Q        A*
 2 5(6) Q&R        35&I
 235(7)(P&R)&(Q&R) 46&I
 235(8)(P&R)&(Q&R) 46&I
12  (9)(P&R)&(Q&R) 13758∨E
といふ「計算」が、「正しい」とする。
従って、
(05)により、
(06)
(1)今日は晴天であるか、または、今日は雨天である=P∨Q。
(2)今日は日曜である=R。
といふ「仮定」から、
(9)今日は晴天の日曜であり、尚且つ、今日は雨天の日曜である=(P&R)&(Q&R)。
といふ「結論」が、「選言除去の規則(∨E)」によって、導かれる。
然るに、
(07)
(1)今日は晴天であるか、または、今日は雨天である=P∨Q。
(2)今日は日曜である=R
といふ「仮定」から、
(9)今日は晴天の日曜であり、尚且つ、今日は雨天の日曜である=(P&R)&(Q&R)。
といふ「結論」は、「導出(deduce)」出来ない。
然るに、
(08)
(a)
1   (1) P∨Q        A
 2  (2)   R        A
  3 (3) P          A
 23 (4) P&R        23&I
 23 (5)(P&R)∨(Q&R) 4∨I
   6(6)   Q        A
 2 6(7)       Q&R  26&I
 2 6(8)(P&R)∨(Q&R) 7∨I
12  (9)(P&R)∨(Q&R) 13568∨E
の場合は、
  3 (3) P          A
といふ「仮定α」から、
 23 (5)(P&R)∨(Q&R) 4∨I
といふ「結論γ」を、得たの「段階」で、
   6(6)   Q        A
といふ「仮定β」を仮定し、その、
   6(6)   Q        A
といふ「仮定β」から、
 2 6(8)(P&R)∨(Q&R) 7∨I
といふ「結論γ」を得てゐる。
従って、
(08)により、
(09)
(a)の場合は、
「P(仮定α)」そのものから、「結論γ」を得たで、
「Q(仮定β)」そのものから、「結論γ」を得てゐる。
然るに、
(10)
(c)
1   (1) P∨Q        A
 2  (2) R          A
  3 (3) P          A
 23 (4) P&R        23&I
   5(5)   Q        A*
 2 5(6) Q&R        35&I
 235(7)(P&R)&(Q&R) 46&I
 235(8)(P&R)&(Q&R) 46&I
12  (9)(P&R)&(Q&R) 13758∨E
の場合は、
  3 (3) P          A
といふ「仮定α」から、
 235(7)(P&R)&(Q&R) 46&I
といふ「結論γ」を、得るの「段階」で、
   5(5)   Q        A*
といふ「仮定β」を仮定し、尚且つ、その「仮定β」を、
 2 5(6) Q&R        35&I
といふ「形」で、用ひてゐる。
従って、
(11)
(c)の場合は、
「P(仮定α)」そのものから、「結論γ」を得たで、
「Q(仮定β)」そのものから、「結論γ」を得てゐる。
のではなく
「P(仮定α)」と
「Q(仮定β)」の、両方用ひて、「結論γ」を得てゐる。
従って、
(10)(11)により、
(12)
(c)の場合は、実際には、
(d)
1    (1) P∨Q        A
 2   (2) R          A
  3  (3) P&Q        A*
   4 (4) P          A
 2 4 (5) P&R        24&I
  3  (6)   Q        3&E
 23  (7) Q&R        26&I
 234 (8)(P&R)&(Q&R) 57&I
    9(9)           A*
 2  9(ア) Q&R        29&I
 2 49(イ)(P&R)&(Q&R) 5ア&I
123  (ウ)(P&R)&(Q&R) 1489イEE
といふ「計算」を行ってゐるのに「等しい」。
従って、
(10)(12)により、
(13)
(c)は、
1  (1) P∨Q A
 2 (2) R   A
といふ「仮定」を、
1  (1) P∨Q A
 2 (2) R   A
  3(3) P&Q A
といふ風に、「改ざん」してゐる。
従って、
(03)(05)(13)により、
(14)
(a)
1   (1) P∨Q        A
 2  (2)   R        A
  3 (3) P          A
 23 (4) P&R        23&I
 23 (5)(P&R)∨(Q&R) 4∨I
   6(6)   Q        A
 2 6(7)       Q&R  26&I
 2 6(8)(P&R)∨(Q&R) 7∨I
12  (9)(P&R)∨(Q&R) 13568∨E
といふ「選言除去の規則(∨E)」の「適用」は、「正しく」、
(c)
1   (1) P∨Q        A
 2  (2) R          A
  3 (3) P          A
 23 (4) P&R        23&I
   5(5)           A*
 2 5(6) Q&R        35&I
 235(7)(P&R)&(Q&R) 46&I
 235(8)(P&R)&(Q&R) 46&I
12  (9)(P&R)&(Q&R) 13758∨E
といふ「選言除去の規則(∨E)」の「適用」は、「正しくない」。
平成31年04月27日、毛利太。

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