2019年6月25日火曜日

「私が理事長です(理事長は私です)。」の「述語論理(確定記述)」。

― 長い間、「返り点」に関する「記事」を書いてゐません。「返り点と括弧」に関しては、
(α)「返り点」と「括弧」に付いて。 :(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_11.html
(β)「返り点」と「括弧」の条件。  :(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_15.html
(γ)「返り点」と「括弧」の条件(Ⅱ):(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_16.html
(δ)「返り点」は、下には戻らない。 :(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_20.html
(ε)「下中上点」等が必要な「理由」。:(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_22.html
(ζ)「返り点・モドキ」について。  :(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_24.html)⇒
 Web上には存在しますが、何故か、アクセス出来ません。
(η)「一二点・上下点」に付いて。  :(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_26.html
(θ)「括弧」の「順番」。      :(https://kannbunn.blogspot.com/2018/01/blog-post.html
(ι)「返り点」と「括弧」の関係   :(https://kannbunn.blogspot.com/2019/01/blog-post_21.html
等々、「その他、諸々」を、お読み下さい。―

(01)
② 私は、1人しかゐない。
従って、
(01)により、
(02)
③ 理事長が、2人以上ゐる。
のであれば、
② 理事長は私です。
とは言へない。
従って、
(02)により、
(03)
② 理事長は私です。
と言ふのであれば、
③ 私以外は理事長ではない。
然るに、
(04)
理事長は私です。
③ 私以外は理事長ではない
は「対偶(Contraposition)」である。
従って、
(04)により、
(05)
理事長は私です。
③ 私以外は理事長ではない
に於いて、
②=③ である。
といふことは、「偶然」ではなく、「必然(対偶)」である。
然るに、
(06)
よく知られているように、「私理事長です」は語順を変え、
 理事長は、私です。
と直して初めて主辞賓辞が適用されのである。また、かりに大倉氏が、
 タゴール記念館は、私が理事です。
と言ったとすれば、これは主辞「タゴール記念館」を品評するという心持ちの文である。
(三上章、日本語の論理、1963年、40・41頁)
従って、
(05)(06)により、
(07)
いづれにせよ、
① 私理事長です。
理事長は私です。
③ 私以外は理事長ではない
に於いて、
①=②=③ である。
である。といふことは、「事実」である。
然るに、
(08)
① ∃x{我x&理事長x&∀y(理事長y→x=y)}⇔
① あるxは私であって、理事長であって、すべてのyについて、yが理事長であるならば、xとyは、「同一人物」である。
といふことは、
① 理事長は私であって、私以外は理事長ではない。
といふことに、他ならない。
然るに、
(09)
(ⅰ)
1 (1)~∀y(理事長y→x=y) A
1 (2)∃y~(理事長y→x=y) 1量化子の関係
 3(3)  ~(理事長b→x=b) A
 3(4) ~(~理事長b∨x=b) 3含意の定義
 3(5)  ~~理事長b&x≠b  4ド・モルガンの法則
 3(6)    理事長b&x≠b  5DN
 3(7) ∃y(理事長y&x≠y) 6EI
1 (8) ∃y(理事長y&x≠y) 237EE
(ⅱ)
1 (1) ∃y(理事長y&x≠y) 1
 2(2)    理事長b&x≠b  A
 2(3) ~(~理事長b∨x=b) 2ド・モルガンの法則
 2(4)   ~(理事長b→x=b) 3含意の定義
 2(5)∃y~(理事長y→x=y) 4EI
1 (6)∃y~(理事長y→x=y) 125EE
1 (7)~∀y(理事長y→x=y) 6量化子の関係
従って、
(09)により、
(10)
① ~∀y(理事長y→x=y)
②   ∃y(理事長y&x≠y)
に於いて、
①=② である。
従って、
(10)により、
(11)
① ~~∀y(理事長y→x=y)
②   ~∃y(理事長y&x≠y)
に於いて、
①=② である。
従って、
(12)
「DN(二重否定)」により、
①  ∀y(理事長y→x=y)
② ~∃y(理事長y&x≠y)
に於いて、
①=② である。
従って、
(07)(08)(12)により、
(13)
① 私理事長です。
理事長は私です。
③ 私以外は理事長ではない
といふ「日本語」は、
① ∃x{我x&理事長x&  ∀y(理事長y→x=y)}⇔
① ∃x{我x&理事長x&~∃y(理事長y&x≠y)}⇔
① あるxは私であって、理事長であって、すべてのyについて、yが理事長であるならば、xとyは、「同一人物」である。⇔
① あるxは私であって、理事長であって、(あるyが理事長であって、xとyが、「同一人物」ではない。)といふことはない。
といふ「述語論理式」他に、相当する。
然るに、
(14)
① ∃x{我x&理事長x&  ∀y(理事長y→x=y)}
① ∃x{我x&理事長x&~∃y(理事長y&x≠y)}
といふ「論理式」は、ラッセルの言ふ、「確定記述(Definite description)」の「意味」を表してゐるものの、
①       I
①       
に「相当」する、
①       我
①       
といふ書き方を、恐らくは、ラッセル先生は、「是認」しない。
然るに、
(15)
「日本語」には、「人称名詞」は有っても、固より、「人称代名詞」は無い(金谷武洋)ため、
①       
①       
といふ「書き方」は、「普通」である。
令和元年06月25日、毛利太。

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