2019年6月5日水曜日

「象が鼻が長い。」の「述語論理」と「スコープ」。

―「返り点と括弧」に関しては、
(α)「返り点」と「括弧」に付いて。 :(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_11.html
(β)「返り点」と「括弧」の条件。  :(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_15.html
(γ)「返り点」と「括弧」の条件(Ⅱ):(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_16.html
(δ)「返り点」は、下には戻らない。 :(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_20.html
(ε)「下中上点」等が必要な「理由」。:(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_22.html
(ζ)「返り点・モドキ」について。  :(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_24.html)⇒
 Web上には存在しますが、何故か、アクセス出来ません。
(η)「一二点・上下点」に付いて。  :(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_26.html
(θ)「括弧」の「順番」。      :(https://kannbunn.blogspot.com/2018/01/blog-post.html
(ι)「返り点」と「括弧」の関係   :(https://kannbunn.blogspot.com/2019/01/blog-post_21.html
等々、「その他、諸々」を、お読み下さい。―
―「昨日の記事」を書き直します。―
(01)
① P→Q(PならばQである)。
といふ「仮言命題」自体は、
① Pである。とも、Pでない。とも、
① Qである。とも、Qでない。とも、言っていない。
然るに、
(02)
(ⅰ)
1  (1) P→Q  A
 2 (2) P    A
  3(3)  ~Q  A
12 (4)   Q  12MPP
123(5)~Q&Q  34&I
1 3(6)~P    25RAA
1  (7)~Q→~P 36CP
(ⅱ)
1  (1)~Q→~P A
 2 (2)~Q    A
  3(3)    P A
12 (4)   ~P 12MPP
123(5) P&~P 34&I
1 3(6)~~Q   25RAA
1 3(7)  Q   6DN
1  (8)P→Q   37CP
従って、
(02)により、
(03)
①  P→ Q
② ~Q→~P
に於いて、
①=② である。
cf.
対偶(contraposition)」は、互いに「等しい」。
従って、
(03)により、
(04)
① P→Q=(P→Q)&(~Q→~P)
である。
然るに、
(05)
「定義(Df.⇔)」により、
② P⇔Q=(P→Q)&(Q→P)
従って、
(04)(05)により、
(06)
① P→Q=(P→Q)&(~Q→~P)
② P⇔Q=(P→Q)&( Q→ P)&(~Q→~P)&(~P→~Q)
である。
従って、
(07)
① P→Q=PならばQである。
② P⇔Q=Pならば、そのときに限って、Qである。
に於いて、
① であれば、「逆は必ずしも真ではない。」が、
② であれば、「逆は、必ずである。」
然るに、
(08)
(ⅰ)
1   (1)∀x{象x⇔∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}   A
1   (2)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)&
         ~象x→~[∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)]}1Df.⇔
1   (3)   象a→∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z)&
         ~象a→~[∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z)  2UE
1   (4)  ~象a→~[∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z)] 3&E
 5  (5)  ~象a                            A
15  (6)    ~[∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z)]   45MPP
15  (7)     ~∃y(鼻ya&長y)∨~∀z(~鼻za→~長z)   6ド・モルガンの法則
15  (8)      ∃y(鼻ya&長y)→~∀z(~鼻za→~長z)   7含意の定義
  9 (9)      ∃y(鼻ya&長y)                 A
159 (ア)                 ~∀z(~鼻za→~長z)   89MPP
159 (イ)                 ∃z~(~鼻za→~長z)   ア量化子の関係
   ウ(ウ)                   ~(~鼻ca→~長c)   A
   ウ(エ)                  ~(~~鼻ca∨~長c)   ウ含意の定義
   ウ(オ)                    ~(鼻ca∨~長c)   エDN
   ウ(カ)                    ~鼻ca&~~長c    オ、ド・モルガンの法則
   ウ(キ)                     ~鼻ca& 長c    カDN
   ウ(ク)                  ∃z(~鼻za& 長z)   キEI
159 (ケ)                  ∃z(~鼻za& 長z)   イウクEE
15  (コ)       ∃y(鼻ya&長y)→∃z(~鼻za& 長z)   9ケCP
1   (サ)   ~象a→∃y(鼻ya&長y)→∃z(~鼻za& 長z)   5コCP
1   (シ)    象a→∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z)   3&E
1   (ス)    象a→∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z)&
          ~象a→∃y(鼻ya&長y)→∃z(~鼻za& 長z)   サシ&I
1   (セ) ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)&
          ~象x→∃y(鼻yx&長y)→∃z(~鼻zx& 長z)}   スUI
(ⅱ)
1   (1) ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)&
          ~象x→∃y(鼻yx&長y)→∃z(~鼻zx& 長z)}  A
1   (2)    象a→∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z)&
          ~象a→∃y(鼻ya&長y)→∃z(~鼻za& 長z)   1UE
1   (3)   ~象a→∃y(鼻ya&長y)→∃z(~鼻za& 長z)   2&E
 4  (4)   ~象a                           A
14  (5)       ∃y(鼻ya&長y)→∃z(~鼻za& 長z)   34MPP
  6 (6)       ∃y(鼻ya&長y)                A
146 (7)                  ∃z(~鼻za& 長z)   56MPP
   8(8)                    (~鼻ca& 長c)   A
   8(9)                  ~~(~鼻ca& 長c)   8DN
   8(ア)                  ~(~~鼻ca∨~長c)   9、ド・モルガンの法則
   8(イ)                   ~(~鼻ca→~長c)   ア含意の定義
   8(ウ)                 ∃z~(~鼻za→~長z)   イEI
146 (エ)                 ∃z~(~鼻ca→~長z)   78ウEE
146 (カ)                 ~∀x(~鼻ca→~長z)   エ量化子の関係
14  (キ)      ∃y(鼻ya&長y)→~∀x(~鼻ca→~長z)   6カCP
14  (ク)     ~∃y(鼻ya&長y)∨~∀x(~鼻ca→~長z)   キ含意の定義
14  (ケ)    ~[∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z)]   ク、ド・モルガンの法則
1   (コ)~象a→~[∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z)]   4ケCP
1   (サ)   象a→∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z)    2&E
1   (シ)   象a→∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長a)&
       ~象a→~[∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z)]   コサ&I
1   (ス)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)&
         ~象x→~[∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)]}シUI
1   (セ)∀x{象x⇔∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}   ス1Df.⇔
従って、
(08)により、
(09)
① ∀x{象x⇔∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}⇔
② ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)&~象x→∃y(鼻yx&長y)→∃z(~鼻zx&長z)}
に於いて、
①=② である。
従って、
(09)により、
(10)
① すべてのxについて、xが象であるならば、そのときに限って、あるyはxの鼻であって長く、すべてのzについて、zがxの鼻でないならば、zは長くない。
② すべてのxについて、xが象であるならば、あるyはxの鼻であって長く、すべてのzについて、zがxの鼻でないならば、zは長くなく、すべてのxについて、xが象でないならば、あるyがxの鼻であって、長いのであれば、あるzは、xの鼻ではないが、zは長い。
に於いて、
①=② である。
然るに、
(11)
① すべてのxについて、xが象であるならば、そのときに限って、あるyはxの鼻であって長く、すべてのzについて、zがxの鼻でないならば、zは長くない。
といふことは、
① 象だけ、鼻だけ長い。
といふ、ことである。
然るに、
(12)
② すべてのxについて、xが象でないならば、あるyがxの鼻であって、長いのであれば、あるzは、xの鼻ではないが、zは長い。
といふことは、
② 象以外の動物で、その動物の鼻が長いのであれば、その動物の鼻以外の部分も長い
といふ、ことである。
然るに、
(13)
② 象以外の動物で、その動物の鼻が長いのであれば、その動物の鼻以外の部分も長い
といふことは、
② 象以外の動物で、だけ長い動物はゐない
といふ、ことである。
然るに、
(14)
② 象以外の動物で、鼻だけ長い動物はゐない
といふことは、
② 象だけ、鼻だけが長い。
といふ、ことである。
従って、
(09)~(14)により、
(15)
① ∀x{象x⇔∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}⇔
② ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)&~象x→∃y(鼻yx&長y)→∃z(~鼻zx&長z)}
は、2つとも
① 象だけ、鼻だけ長い。
② 象だけ、鼻だけ長い。
といふ、「意味」である。
然るに、
(16)
① あなた以外は好きではない
といふのであれば、
① あなた好きです。
と言ふのであって、
① あなたは好きです。
① あなたも好きです。
とは、言はない
然るに、
(17)
① あなた以外は好きではない
といふことは、
① あなただけ好きです。
といふ「意味」である。
従って、
(16)(17)により、
(18)
① あなた好きです。
と言へば、それだけで、
① あなた好きです=あなただけ好きです。
といふ、「意味」になる。
従って、
(15)~(18)により、
(19)
① 象長い=象だけ、鼻だけ長い。
② 象長い=象以外は、鼻以外は長くない
である。
然るに、
(20)
① 象長い。
とは異なり、
③ 象は鼻長い。
の場合は、
③「象」だけを念頭に置いてゐる。
従って、
(20)により、
(21)
③ 象は鼻長い。⇔
③ ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}⇔
③ すべてのxについて、xが象であるならば、あるyはxの鼻であって長く、すべてのzについて、zがxの鼻でないならば、zは長くない。
である。
従って、
(09)(10)(21)により、
(22)
「番号」を、付け替へると、
① 象は鼻長い。⇔
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}⇔
① すべてのxについて、xが象であるならば、あるyはxの鼻であって長く、すべてのzについて、zがxの鼻でないならば、zは長くない。
であって、
② 象長い。⇔
② ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)&~象x→∃y(鼻yx&長y)→∃z(~鼻zx&長z)}⇔
② すべてのxについて、xが象であるならば、あるyはxの鼻であって長く、すべてのzについて、zがxの鼻でないならば、zは長くなく、すべてのxについて、xが象でないならば、あるyがxの鼻であって、長いのであれば、あるzは、xの鼻ではないが、zは長い。
である。
然るに、
(23)
括弧は、論理演算子のスコープ(scope)を明示する働きを持つ。スコープは、論理演算子の働きが及ぶ範囲のことをいう。
(産業図書、数理言語学辞典、2013年、四七頁:命題論理、今仁生美)
(24)
(ⅰ)論理式または命題関数において、量記号が現れる任意の箇所の作用範囲は、問題になっている変数が現れる少なくとも2つの箇所を含むであろう(その1つの箇所は量記号そのもののなかにある);
(ⅱ)論理式または命題関数において、量記号が現れる任意の箇所の作用範囲は、同じ変数を用いたいかなる他の量記号も含まないであろう。
(論理学初歩、E.J.レモン、竹尾 治一郎・浅野 楢英 訳、1973年、183頁)
従って、
(22)(23)(24)により、
(25)
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}
② ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)&~象x→∃y(鼻yx&長y)→∃z(~鼻zx&長z)}
に於いて、
① xの「スコープ(作用範囲)」と、
② xの「スコープ(作用範囲)」は、
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}
② ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)&~象x→∃y(鼻yx&長y)→∃z(~鼻zx&長z)}
といふ「論理式の、全体」である。
従って、
(25)により、
(26)
① 象は鼻長い=∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
② 象長い=∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)&~象x→∃y(鼻yx&長y)→∃z(~鼻zx&長z)}。
に於ける、
①「象」の「スコープ(作用範囲)」は、「長い」まであり、
②「象」の「スコープ(作用範囲)」も、「長い」まである。
然るに、
(27)
「象は」は、テーマを提示する主題であり、これから象についてのことを述べますよというメンタルスペースのセットアップであり、そのメンタルスペースのスコープを形成する働きをもつと主張する(この場合は「長い」までをスコープとする)。
(三上文法! : wrong, rogue and log)
従って、
(27)により、
(28)
(三上文法! : wrong, rogue and log)の記者さんによると、恰も、
①「象」の「スコープ(作用範囲)」は、「長い」まであるが、
②「象」の「スコープ(作用範囲)」は、「長い」まではない
といふ風に、述べてゐるやうに、聞こえる。
然るに、
(29)
② 象鼻が長い。
といふのであれば、
② 鼻長い。のは、「」である。
従って、
(26)(29)により、
(30)
①「象」の「スコープ(作用範囲)」は、「長い」まであるが、
②「象」の「スコープ(作用範囲)」も、「長い」まではない
といふことは、有り得ない
然るに、
(22)により、
(31)
① 象は鼻が長い=∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}=「すべてのxについて、xが象であるならば、・・・・・・・。」
② 象が鼻が長い=∀x{象x⇔∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}=「すべてのxについて、xが象であるならば、・・・・・・・。」
従って、
(31)により、
(32)
① 象は=「すべてのxについて、xが象であるならば、」
② 象が=「すべてのxについて、xが象であるならば、」
然るに、
(33)
①「すべてのxについて、xが象であるならば、」=「これから象についてのことを述べますよ、」
②「すべてのxについて、xが象であるならば、」=「これから象についてのことを述べますよ、」
といふ風に、解することが出来る。
従って、
(27)(33)により、
(34)
① 象=「これから象についてのことを述べますよ、」
であるならば、
② 象=「これから象についてのことを述べますよ、」
であると、すべきである。
令和元年06月05日、毛利太。

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