2019年6月13日木曜日

「鼻は象は長い」と「鼻は象が長い」と「鼻が象は長い」と「鼻が象が長い」の「述語論理」。

― 長い間、「返り点」に関する「記事」を書いてゐません。「返り点と括弧」に関しては、
(α)「返り点」と「括弧」に付いて。 :(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_11.html
(β)「返り点」と「括弧」の条件。  :(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_15.html
(γ)「返り点」と「括弧」の条件(Ⅱ):(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_16.html
(δ)「返り点」は、下には戻らない。 :(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_20.html
(ε)「下中上点」等が必要な「理由」。:(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_22.html
(ζ)「返り点・モドキ」について。  :(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_24.html)⇒
 Web上には存在しますが、何故か、アクセス出来ません。
(η)「一二点・上下点」に付いて。  :(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_26.html
(θ)「括弧」の「順番」。      :(https://kannbunn.blogspot.com/2018/01/blog-post.html
(ι)「返り点」と「括弧」の関係   :(https://kannbunn.blogspot.com/2019/01/blog-post_21.html
等々、「その他、諸々」を、お読み下さい。―

(01)
① 鼻象は長い=鼻は象は長い。
② 鼻象が長い=鼻は象は長く、象の鼻以外は長くない。
③ 鼻象は長い=鼻は象は長く、象は、鼻以外は、長くない。
④ 鼻象が長い=鼻は象は長く、象は、鼻以外は、長くなく、象は鼻以外は長くない。
であるとする。
従って、
(01)により、
(02)
① 鼻は象は長い=∀y∀x{(鼻yx&象x)→長y}。
② 鼻は象が長い=∀x∀y{[(鼻xy&象y)→長x]&[~(鼻xy&象y)→~長x]}。
③ 鼻が象は長い=∀x∀y{[(鼻xy&象y)→長y]&[(~鼻xy&象y)→~長x]}。
④ 鼻が象が長い=∀x∀y{[(鼻xy&象y)→長y]&[(~鼻xy&象y)→~長x]&~(鼻xy&象y)→~長]}。
であるものの、「①と②」に関しては、「③と④」よりも、確実である。
(03)
1    (1)  ∀x{ 象x→∃y(鼻yx)} A
 2   (2)∀y∀x{(鼻yx&象x)→長y} A
  3  (3)   ∃x(象x)         A
1    (4)      象a→∃y(鼻ya)  1UE
   5 (5)      象a          A
1  5 (6)         ∃y(鼻ya)  45MPP
    7(7)            鼻ba   A
   57(8)      鼻ba&象a      57&I 
 2   (9)  ∀x{(鼻bx&象x)→長b  2UE
 2   (ア)      鼻ba&象a →長b  9UE
 2 57(イ)              長b  8ア
 2 57(ウ)      鼻ba&象a&長b   8イ&I
 2 57(エ)   ∃x(鼻bx&象x&長b)  ウEI
12 5 (オ)   ∃x(鼻bx&象x&長b)  67エEE
123  (カ)   ∃x(鼻bx&象x&長b)  35オEE
123  (キ) ∃y∃x(鼻yx&象x&長y)  カEI
123  (〃)あるyは、あるxの鼻であって、xは象であって、yは長い。 カEI
123   (〃)あるyは、象の鼻であって、yは長い。カEI
123  (〃)長い。           カEI
従って、
(03)により、
(04)
(1)象には鼻がある。
(2)鼻象は長い。
(3)象は存在する。
といふ「仮定」により、
(4)鼻の長い象がゐる。
といふ『結論』を得る。
従って、
(03)(04)により、
(05)
(1)象には鼻がある=  ∀x{ 象x→∃y(鼻yx)}。
(2)鼻象は長い =∀y∀x{(鼻yx&象x)→長y}。
(3)兎は存在する =  ∃x(兎x)。
といふ「等式」は、「正しい」。
然るに、
(06)
1     (1)  ∀x{兎x→∃y(鼻yx)}                    A    
 2    (2)  ∀x{兎x→~象x}                        A
  3   (3)∀y∀x{[(鼻yx&象x)→長y]&[~(鼻yx&象x)→~長y]} A
1     (4)     兎a→∃y(鼻ya)                     1UE
 2    (5)     兎a→~象a                         2UE
  3   (6)  ∀x{[(鼻bx&象x)→長b]&[~(鼻bx&象x)→~長b]} 3UE
  3   (7)     [(鼻ba&象a)→長b]&[~(鼻ba&象a)→~長b]  6UE
  3   (8)                    ~(鼻ba&象a)→~長b   7&E
   9  (9)  ∃x(兎x)                            A
    ア (ア)     兎a                             A
 2  ア (イ)        ~象a                         5アMPP
1   ア (ウ)        ∃y(鼻ya)                     4アMPP
1   ア (エ)           鼻ba                      A
     オ(オ)                      鼻ba→~象a       A
     オ(カ)                     ~鼻ba∨~象a       オ含意の定義
     オ(キ)                    ~(鼻ba& 象a)      カ、ド・モルガンの法則
  3  オ(ク)                              ~長b   8キMPP
  3   (ケ)                      鼻ba→~象a→~長b   オクCP
1 3 ア (コ)                          ~象a→~長b   エケMPP
123 ア (サ)                              ~長b   イコMPP
 2  ア (シ)     兎a&~象a                         アイ&I
12  ア (ス)     兎a&~象a&鼻ba                     エシ&I
123 ア (シ)     兎a&~象a&鼻ba&~長b                 サス&I
123 ア (ス)  ∃x(兎x&~象x&鼻bx&~長b)                シEI
1239  (セ)  ∃x(兎x&~象x&鼻bx&~長b)                9アスEE
1239  (ソ)∃y∃x(兎x&~象x&鼻yx&~長y)                セEI
1239  (〃)あるyは、兎であって、象ではないxの鼻であり、yは長くない。      セEI
1239  (〃)兎であって、象ではないxの鼻は長くない。                セEI
1239  (〃)は長くない
従って、
(06)により、
(07)
(1)兎には鼻がある。
(2)兎は象ではない。
(3)鼻長い。
(9)兎は存在する。
といふ「仮定」により、
(5)は長くない
といふ『結論』を得る。
従って、
(06)(07)により、
(08)
(1)象には鼻がある=  ∀x{ 象x→∃y(鼻yx)}。
(2)兎は象ではない=  ∀x{兎x→~象x}。
(3)鼻は象が長い =∀y∀x{[(鼻yx&象x)→長y]&[~(鼻yx&象x)→~長y]}。
(9)兎は存在する =  ∃x(兎x)。
といふ「等式」は、「正しい」。
従って、
(05)(08)により、
(09)
(2)鼻は象は長い =∀y∀x{(鼻yx&象x)→長y}。
(3)鼻は象が長い =∀y∀x{[(鼻yx&象x)→長y]&[~(鼻yx&象x)→~長y]}。
といふ「等式」は、「正しい」。
然るに、
(10)
「昨日(令和元年06月12日)」の「記事」で「確認」した通り、
① 象鼻は長い=∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)}。
② 鼻象は長い=∀x∀y{(鼻xy&象y)→長x}。
に於いて、
① ならば、② ではないし、
② ならば、① でもない
従って、
(10)により、
(11)
③ 象は鼻が長い=∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
④ 鼻は象が長い=∀y∀x{[(鼻yx&象x)→長y]&[~(鼻yx&象x)→~長y]}。
に於いて、
③ ならば、④ ではないし、
④ ならば、③ でもない
といふことは、「計算」をする迄もなく、さうであるに、違ひない。
然るに、
(12)
いづれにせよ、
① 象は鼻は長い。
③ 象は鼻長い。
の場合は、
①{の耳、の鼻、の首}等が、{変域}であるのに対して、
② 鼻は象は長い。
④ 鼻象が長い。
の場合は、
④ 耳は兎が長い。
④ 鼻は象が長い。
④ 首はキリンが長い。
といふ風に、
④{キリン}等が、{変域}に、ならざるを得ない。
従って、
(11)(12)により、
(13)
さのやうに、{変域}が異なる以上、
① 象は鼻は長い=∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)}。
② 鼻象は長い=∀x∀y{(鼻xy&象y)→長x}。
に於いて、
①=② である。
といふことは、有り得ないし、
③ 象は鼻が長い=∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
④ 鼻象が長い=∀y∀x{[(鼻yx&象x)→長y]&[~(鼻yx&象x)→~長y]}。
に於いても、
③=④ である。
といふことは、有り得ない
従って、
(13)により、
(14)
③ 象鼻が長い。
④ 鼻象が長い。
に於いて、
③ と ④ は、「日本語」としては、「同じ」ではないし、「どう違ふ」のかと言へば、
③ ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
④ ∀y∀x{[(鼻yx&象x)→長y]&[~(鼻yx&象x)→~長y]}。
を見れば分かる通り、「一目瞭然、全く、違ふ」。
といふ、ことになる。
然るに、
(15)
学校文法は単純な英語文法からの輸入で、主語・述語関係を単純に当てはめたものだ。そのため、「象は、鼻が長い」という単純な文でさえ、どれが主語だか指摘できず、複数主語だとか、主語の入れ子だとか、奇矯な技を使う。これに対して三上は、日本語には主語はない、とする。「象」は、テーマを提示する主題であり、これから象についてのことを述べますよというメンタルスペースのセットアップであり、そのメンタルスペースのスコープを形成する働きをもつと主張する(この場合は「長い」までをスコープとする)。また、「鼻」は主格の補語にすぎなく、数ある補語と同じ格であるとする。基本文は述語である「長い」だけだ(wrong, rogue and log)。
従って、
(15)により、
(16)
③ 象は鼻が長い。
④ 鼻は象が長い。
に於いて、
③「象は」は「主題」で「象が」は「主格」で、
④「鼻は」は「主題」で「象が」は「主格」である。
然るに、
(17)
③「象は」は「主題」で「象が」は「主格」で、
④「鼻は」は「主題」で「象が」は「主格」である。
と言はれても、「正直」に言って、「私には、さうなのですか。さうなのですね。」といふくらいの、「反応」しか出来ない。
然るに、
(18)
② 鼻象は長い=∀y∀x{(鼻yx&象x)→長y}。
④ 鼻象が長い=∀y∀x{[(鼻yx&象x)→長y]&[~(鼻yx&象x)→~長y]}。
でないのであれば、これらの「式」を用ひて、
(キ)∃y∃x(鼻yx&象x&長y)=象の鼻は長い。
(ソ)∃y∃x(兎x&~象x&鼻yx&~長y)=兎の鼻は長くない。
といふ『結論』を、得ることは、出来ない
従って、
(03)(06)(18)により、
(19)
例へば、
② 鼻象は長い=∀y∀x{(鼻yx&象x)→長y}。
といふ「等式」が、「マチガイ」である。といふのであれば、
(3)
1    (1)  ∀x{ 象x→∃y(鼻yx)} A
 2   (2)∀y∀x{(鼻yx&象x)→長y} A
  3  (3)   ∃x(象x)         A
1    (4)      象a→∃y(鼻ya)  1UE
   5 (5)      象a          A
1  5 (6)         ∃y(鼻ya)  45MPP
    7(7)            鼻ba   A
   57(8)      鼻ba&象a      57&I 
 2   (9)  ∀x{(鼻bx&象x)→長b  2UE
 2   (ア)      鼻ba&象a →長b  9UE
 2 57(イ)              長b  8ア
 2 57(ウ)      鼻ba&象a&長b   8イ&I
 2 57(エ)   ∃x(鼻bx&象x&長b)  ウEI
12 5 (オ)   ∃x(鼻bx&象x&長b)  67エEE
123  (カ)   ∃x(鼻bx&象x&長b)  35オEE
123  (キ) ∃y∃x(鼻yx&象x&長y)  カEI
123  (〃)あるyは、あるxの鼻であって、xは象であって、yは長い。 カEI
123   (〃)あるyは、象の鼻であって、yは長い。カEI
123  (〃)象の鼻は長い。           カEI
といふ「計算」の、「何処が、どうマチガイなのか。」といふことを、「指摘」しなければならない。
然るに、
(20)
学校では、「述語計算」を教へないし、「日本語の先生や、日本語の教師」の方は、「述語論理」には、興味が無いほうが、普通です。
従って、
(19)(20)により、
(21)
『「・・・・・」といふ「計算」の「マチガイ」を「指摘」せよ。』といふのは、「普通の、日本語の先生や、日本語の教師」の方にとっては、「ムチャな話」ではあると言へば、「ムチャな話」であると、言はざるを得ない。
令和元年06月13日、毛利太。

0 件のコメント:

コメントを投稿