2019年6月21日金曜日

「すべての人間は正直である」と「人間の存在」の「述語論理」。

― 長い間、「返り点」に関する「記事」を書いてゐません。「返り点と括弧」に関しては、
(α)「返り点」と「括弧」に付いて。 :(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_11.html
(β)「返り点」と「括弧」の条件。  :(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_15.html
(γ)「返り点」と「括弧」の条件(Ⅱ):(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_16.html
(δ)「返り点」は、下には戻らない。 :(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_20.html
(ε)「下中上点」等が必要な「理由」。:(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_22.html
(ζ)「返り点・モドキ」について。  :(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_24.html)⇒
 Web上には存在しますが、何故か、アクセス出来ません。
(η)「一二点・上下点」に付いて。  :(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_26.html
(θ)「括弧」の「順番」。      :(https://kannbunn.blogspot.com/2018/01/blog-post.html
(ι)「返り点」と「括弧」の関係   :(https://kannbunn.blogspot.com/2019/01/blog-post_21.html
等々、「その他、諸々」を、お読み下さい。―
(01)
{xの変域}={a、b、c} であるとして、
① ∀x(~人間x)=(~人間a&~人間b&~人間c)=すべてのxは人間でない。
② ∃x(~人間x)=(~人間a∨~人間b∨~人間c)=  あるxは人間でない。
に於いて、
① ならば、② である。
然るに、
(02)
② ∃x(~人間x)=(~人間a∨~人間b∨~人間c)=  あるxは人間でない。
③ ~∀x(人間x)=(~人間a∨~人間b∨~人間c)=  あるxは人間でない。
に於いて、
②=③ である。
従って、
(01)(02)により、
(03)
{xの変域}={a、b、c} であるとして、
① ∀x(~人間x)=(~人間a&~人間b&~人間c)=すべてのxは人間でない。
③ ~∀x(人間x)=(~人間a∨~人間b∨~人間c)=  あるxは人間でない。
に於いて、
① ならば、③ である。
(04)
(ⅰ)
1 (1)  P→ Q  A
 2(2)  P&~Q  A
 2(3)  P     2&E
 2(4)    ~Q  2&E
12(5)     Q  13MPP
12(6)  ~Q&Q  45&I
1 (7)~(P&~Q) 26RAA
(ⅱ)
1  (1)~(P&~Q)  A
 2 (2)  P      A
  3(3)    ~Q   A
 23(4)  P&~Q   23&I
123(5)~(P&~Q)&
       (P&~Q)  14&I
12 (6)   ~~Q   35RAA
12 (7)     Q   6DN
1  (8)  P→ Q   27CP
従って、
(04)により、
(05)
①   P→ Q =Pならば、Qである。
② ~(P&~Q)=PであってQでない。といふことはない。
に於いて、
①=② である。
然るに、
(06)
(ⅱ)
1   (1) ~( P&~Q)         A
 2  (2) ~(~P∨ Q)         A
  3 (3)   ~P             A
  3 (4)   ~P∨ Q          3∨I
 23 (5) ~(~P∨ Q)&(~P∨ Q) 24&I
 2  (6)  ~~P             35RAA
 2  (7)    P             6
   8(8)       Q          A
   8(9)   ~P∨ Q          8∨I
 2 8(ア) ~(~P∨ Q)&(~P∨ Q) 29&I
 2  (イ)      ~Q          8アRAA
 2  (ウ)    P&~Q          7イ&I
12  (エ) ~( P&~Q)&( P&~Q) 1ウ&I
1   (オ)~~( P∨ Q)         2エRAA
1   (カ)  (~P∨ Q)         オDN
(ⅲ)
1   (1)   ~P∨ Q          A
 2  (2)    P&~Q          A
  3 (3)   ~P             A
 2  (4)    P             2&E
 23 (5)   ~P&P           34&I
  3 (6)  ~(P&~Q)         25RAA
   7(7)       Q          A
 2  (8)      ~Q          2&E
 2 7(9)    Q&~Q          78&I
   7(ア)  ~(P&~Q)         29RAA
1   (イ)  ~(P&~Q)         1368ア∨E
従って、
(06)により、
(07)
② ~(P&~Q)=PであってQでない。といふことはない。
③   ~P∨ Q =PでなくてQでないか、PであってQであるか、PでなくてQである。
に於いて、
②=③ である。
従って、
(06)(07)により、
(08)
①   P→ Q =Pならば、Qである。
② ~(P&~Q)=PであってQでない。といふことはない。
③   ~P∨ Q =PでなくてQでないか、PであってQであるか、PでなくてQである。
に於いて、
①=②=③ である。
cf.
含意の定義、ド・モルガンの法則。
従って、
(08)により、
(09)
①  P→Q= Pならば、Qである。
③ ~P∨Q=(PでなくてQあるか、PでなくてQでない。)か(PであってQである)。
に於いて、
①=③である。
従って、
(09)により、
(10)
①  P→Q= Pならば、Qである。
① ~P∨Q=(PでなくてQあるか、PでなくてQでない。)か(PであってQである)。
に於いて、
①       Pでない。ならば、
①       PでなくてQあるか、PでなくてQでない。
従って、
(10)により、
(11)
① PならばQである。
として、
① Pでない
とすると、
① PでなくてQであるか、PでなくてQでない
然るに、
(12)
①      Qであるか      Qでない
は、「排中律」であるため、「常に本当(真)」である。
従って、
(11)(12)により、
(13)
① PならばQである。
として、
① Pでない
ならば、
① PならばQである。
といふ「命題」は、「常に(本当)」である。
従って、
(13)により、
(14)
① Pでない
ならば、
① PならばQである。
といふ「命題」は、「常に(本当)」である。
従って、
(14)により、
(15)
① Pでない
ならば、
① PならばQである。
といふ「命題」は、「常に(本当)」である。
が故に、例へば、
①    ~∀x(人間x)=すべてのxについて、xが人間である。といふわけでない
ならば、
① ∀x(人間x→正直x)=すべてのxについて、xが人間である。ならば、xは正直である。
といふ「命題」は、「常に(本当)」である。
然るに、
(03)により、
(16)
もう一度、確認すると、
{xの変域}={a、b、c} であるとして、
① ∀x(~人間x)=すべてのxは人間でない。
② ~∀x(人間x)=すべてのxについて、xが人間である。といふわけでない。
に於いて、
① ならば、② である。
従って、
(15)(16)により、
(17)
① ∀x(~人間x)=すべてのxは人間でない。
ならば、
① ~∀x(人間x)=すべてのxについて、xが人間である。といふわけでない。
であって、
① ~∀x(人間x)=すべてのxについて、xが人間である。といふわけでない。
ならば、
① ∀x(人間x→正直x)=すべてのxについて、xが人間であるならば、xは正直である。
といふ「命題」は、「常に(本当)」である。
従って、
(17)により、
(18)
① ∀x(~人間x)=すべてのxは人間でない
ならば、
① ∀x(人間x→正直x)=すべてのxについて、xが人間であるならば、xは正直である。
といふ「命題」は、「常に(本当)」である。
然るに、
(19)
{xの変域}={a、b、c} であるとして、
① ∀x(~人間x)=すべてのxは人間でない
といふことは、
① ~人間a=aは人間ではない。
① ~人間b=bは人間ではない。
① ~人間c=cは人間ではない。
といふ、ことである。
然るに、
(20)
{xの変域}={a、b、c} であるとして、
① ~人間a=aは人間ではない。
① ~人間b=bは人間ではない。
① ~人間c=cは人間ではない。
といふことは、
人間は一人もゐない
といふ、ことである。
従って、
(18)(19)(20)により、
(21)
人間が一人もゐない
としても、
① すべてのxについて、もしxが人間であるならば、xは正直である。
といふ「命題」は、「(本当)」である。
然るに、
(22)
要するに「すべて」という語も「人間」といふ語も、「存在する」ということとは無関係である。そこで「すべての人間は正直である」という文の論理的構造をしめす
 「すべてのxについて、もしxが人間ならばxは正直である」
は命題論理の法則の一つである
 (P→Q)=~(P&~Q)
をあてはめれば、「すべてのxについて、xが人間であってそして正直でないということではない」ということと等値である。
(沢田允茂、現代論理学入門、1962年、122頁)。
従って、
(21)(22)により、
(23)
沢田允茂 先生も、さうのべてゐるやうに、
人間が一人もゐない
としても、
① すべてのxについて、もしxが人間であるならば、xは正直である。
といふ「命題」は、「(本当)」である。
従って、
(08)(23)により、
(24)
{xの変域}={a、b、c} であるとして、
① すべての人間は正直である=( 人間a→正直a)&( 人間b→正直b)&( 人間c→正直c)。
② すべての人間は正直である=(~人間a∨正直a)&(~人間b∨正直b)&(~人間c∨正直c)。
といふ「命題」は、
人間が一人もゐない
人間が一人もゐない
としても、「(本当)」である。
然るに、
(25)
{xの変域}={a、b、c} であるとして、
② すべての人間は正直である=(~人間a∨正直a)&(~人間b∨正直b)&(~人間c∨正直c)。
であるならば、
② ~人間a=aは人間ではない。
② ~人間b=bは人間ではない。
② ~人間c=cは人間ではない。
としても、
② すべての人間は正直である=(~人間a∨正直a)&(~人間b∨正直b)&(~人間c∨正直c)。
といふ「命題」は、「真(本当)」であることは、「当然」である。
従って、
(08)(23)(24)(25)により、
(26)
人間が一人もゐない。にも拘らず。
① すべてのxについて、もしxが人間であるならば、xは正直である。
といふ「命題」が、「(本当)」である。
といふことは、「ヲカシイ」とするのであれば、その場合は、
①   P→ Q =Pならば、Qである。
② ~(P&~Q)=PであってQでない。といふことはない。
③   ~P∨ Q =PでなくてQでないか、PであってQであるか、PでなくてQである。
に於いて、
①=②=③ である。
といふことを、「否定」しなければ、ならない。
然るに、
(27)
② ~(P&~Q)=PであってQでない。といふことはない。
③   ~P∨ Q =PでなくてQでないか、PであってQであるか、PでなくてQである。
に於いて、
②=③ である。
といふことは、有名な「ド・モルガンの法則」である。
然るに、
(28)
①   P→ Q =Pならば、Qである。
② ~(P&~Q)=PであってQでない。といふことはない。
に於いて、
①=② ではない。
といふことも、有り得ない
令和元年06月21日、毛利太。

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