2019年5月20日月曜日

「All the nice girls love a sailor.」の述語論理。

―「返り点と括弧」に関しては、
(α)「返り点」と「括弧」に付いて。 :(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_11.html
(β)「返り点」と「括弧」の条件。  :(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_15.html
(γ)「返り点」と「括弧」の条件(Ⅱ):(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_16.html
(δ)「返り点」は、下には戻らない。 :(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_20.html
(ε)「下中上点」等が必要な「理由」。:(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_22.html
(ζ)「返り点・モドキ」について。  :(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_24.html)⇒
 Web上には存在しますが、何故か、アクセス出来ません。
(η)「一二点・上下点」に付いて。  :(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_26.html
(θ)「括弧」の「順番」。      :(https://kannbunn.blogspot.com/2018/01/blog-post.html
(ι)「返り点」と「括弧」の関係   :(https://kannbunn.blogspot.com/2019/01/blog-post_21.html
等々、「その他、諸々」を、お読み下さい。今となっては、どのやうなことを書いて、どのやうなことを書かなかったのか、ハッキリとは、覚えてはゐません。―
(01)
All the nice girls love a sailor.
(すべてのすてきな女の子は、水夫を愛している)
という文を取り上げてみよう。この文は、「どのすてきな女の子も、水夫を誰か愛している。アリスはジョーを愛し、メアリーはバートを愛し、デスデモーナはビリーを愛している」という意味にもとれるし、また、「どのすてきな女の子も、一人の特定の水夫を愛している。その水夫の名前は、ジャック・タールである」という意味にもとれる。論理学では、この二つの異なる構造をはっきり示す、厳密な表記を提供してくれるのである。
(ジーン・エイチソン著、田中晴美 田中幸子訳、入門言語学、1980年、92頁)
然るに、
(02)
① ジャック・タールが、水夫である以上、
① ジャック・タールだけを、愛してゐる。と、言ふのであれば、それだけで、「水夫を愛してゐる。」ことになる。
然るに、
(03)
② ジャック・タール以外にも、水夫はゐるため、
②「水夫を愛してゐる。」といふだけでは、ジャック・タールを、愛しているかどうかは、分からない。
従って、
(02)(03)により、
(04)
① ジャック・タールだけを、愛してゐる。と、言ふのであれば「水夫を愛してゐる。」ことになり、
②「水夫を愛してゐる。」といふだけでは、ジャック・タールを、愛しているかどうかは、分からない。
然るに、
(05)
① ジャック・タールだけを、愛してゐる。と、言ふのであれば「水夫を愛してゐる。」ことになり、
②「水夫を愛してゐる。」といふだけでは、ジャック・タールを、愛しているかどうかは、分からない。
といふことは、
① ならば、② であるが、
② ならば、① である。ではない
といふことに、他ならない。
然るに、

(01)(05)により、
(06)
① ジャック・タールだけを、愛してゐる。と、言ふのであれば「水夫を愛してゐる。」ことになり、
②「水夫を愛してゐる。」といふだけでは、ジャック・タールを、愛しているかどうかは、分からない。
に於いて、
① と、
② は、それぞれ、
① ∃y{水夫y&∀x(素敵x&少女x→愛xy)}
② ∀x{素敵x&少女x→∃y(水夫y&愛xy)}
といふ「述語論理」に、対応する。
従って、
(01)(05)(06)により、
(07)
① ∃y{水夫y&∀x(素敵x&少女x→愛xy)}=All the nice girls love a sailor.
② ∀x{素敵x&少女x→∃y(水夫y&愛xy)}=All the nice girls love a sailor.
に於いて、
① ならば、② であるが、
② ならば、① である。ではない
然るに、
(08)
1  (1)∃y{水夫y&∀x(素敵x&少女x→愛xy)} A
 2 (2)   水夫b&∀x(素敵x&少女x→愛xb)  A
 2 (3)   水夫b                  2&E
 2 (4)       ∀x(素敵x&少女x→愛xb)  2&E
 2 (5)          素敵a&少女a→愛ab   4UE
  6(6)          素敵a&少女a       A
 26(7)                  愛ab   56MPP
 26(8)              水夫b&愛ab   37&I
 26(9)           ∃y(水夫y&愛ab)  8EI
1 6(ア)           ∃y(水夫y&愛ay)  129EE
1  (ウ)   素敵a&少女a→∃y(水夫y&愛ay)  6アCP
1  (エ)∀x{素敵x&少女x→∃y(水夫y&愛xy)} ウUI
従って、
(08)により、
(09)
① ∃y{水夫y&∀x(素敵x&少女x→愛xy)}
② ∀x{素敵x&少女x→∃y(水夫y&愛xy)}
に於いて、
① ならば、② である。
然るに、
(10)
1  (1)∀x{素敵x&少女x→∃y(水夫y&愛ay)} A
1  (2)   素敵a&少女a→∃y(水夫y&愛ay)  1UI
 3 (3)   素敵a&少女a              A
13 (4)           ∃y(水夫y&愛ay)  23MPP
  5(5)              水夫b&愛ab   A
13 (6)              水夫b&愛ab   455EE
13 (7)                  愛ab   6&E
1  (8)          素敵a&少女a→愛ab   37CP
1  (9)       ∀x(素敵x&少女x→愛xb)  8UI
13 (ア)   水夫b                  6&E
13 (イ)   水夫b&∀x(素敵x&少女x→愛xb)  9ア&I
 (ウ)∃y{水夫y&∀x(素敵x&少女x→愛xy)} イEI
然るに、
(11)
① ∃y{水夫y&∀x(素敵x&少女x→愛xy)}
② ∀x{素敵x&少女x→∃y(水夫y&愛xy)}
に於いて、
② ならば、① である。
といふ場合には、
 (ウ)∃y{水夫y&∀x(素敵x&少女x→愛xy)} イEI
ではなく、
1  (ウ)∃y{水夫y&∀x(素敵x&少女x→愛xy)} イEI
でなければ、ならない。
従って、
(10)(11)により、
(12)
① ∃y{水夫y&∀x(素敵x&少女x→愛xy)}=All the nice girls love a sailor.
② ∀x{素敵x&少女x→∃y(水夫y&愛xy)}=All the nice girls love a sailor.
に於いて、
② ならば、① である。ではない。
従って、
(07)~(12)により、
(13)
① ∃y{水夫y&∀x(素敵x&少女x→愛xy)}=All the nice girls love a sailor.
② ∀x{素敵x&少女x→∃y(水夫y&愛xy)}=All the nice girls love a sailor.
に於いて、たしかに、
① ならば、② であるが、
② ならば、① である。ではない
従って、
(13)により、
(14)
① ∃y{水夫y&∀x(素敵x&少女x→愛xy)}=All the nice girls love a sailor.
② ∀x{素敵x&少女x→∃y(水夫y&愛xy)}=All the nice girls love a sailor.
に於ける、「左辺」、すなはち、
① ∃y{水夫y&∀x(素敵x&少女x→愛xy)}
② ∀x{素敵x&少女x→∃y(水夫y&愛xy)}
に於いて、
①=② ではない
「従って、
(01)(14)により、
(15)
① All the nice girls love a sailor.
② All the nice girls love a sailor.
といふ「英文」は、「曖昧(ambiguous)」である。
然るに、
(16)
① 或水夫
といふ「漢文」があるとして、
① ∃y{水夫y&∀x(素敵x&少女x→愛xy)}
といふ「述語論理」は、
① 或水夫為全素敵少女所愛=
① 或水夫為〔全素敵少女所(愛)〕⇒
① 或水夫〔全素敵少女(愛)所〕為=
① 或る水夫〔全ての素敵な少女の(愛する)所と〕為る。
といふ「漢文訓読」に、相当する。
(17)
② ∀x{素敵x&少女x→∃y(水夫y&愛xy)}
といふ「述語論理」は、
② 素敵少女皆有其所愛水夫=
② 素敵少女皆有〔其所(愛)水夫〕⇒
② 素敵少女皆〔其(愛)所水夫〕有=
② 素敵な少女は皆〔其の(愛する)所の水夫〕有り。
といふ「漢文訓読」に、相当する。
然るに、
(18)
① 或水夫為全素敵少女所愛=
① 或水夫為〔全素敵少女所(愛)〕⇒
① 或水夫〔全素敵少女(愛)所〕為=
① 或る水夫〔全ての素敵な少女の(愛する)所と〕為る。
といふ「漢文訓読」は、
① A sailor is loved by all the girls.
といふ「英文」に、相当する。
従って、
(15)~(18)により、
(19)
① All the nice girls love a sailor.
には、
① A sailor is loved by all the girls.
といふ「意味」が、あることになる。
従って、
(01)(19)により、
(20)
① All the nice girls love a sailor.
といふ「英文」は、
① A sailor is loved by all the girls.
といふ「意味」であるかも、知れないし、
① A sailor is loved by all the girls.
ではないのかも知れない。
といふことから、「曖昧(ambiguous)」である。
といふ、ことになる。
令和元年05月20日、毛利太。

0 件のコメント:

コメントを投稿