2019年5月23日木曜日

∃x(Fx→Gx)は、よくある「マチガイ」である(Ⅱ)。

―「返り点と括弧」に関しては、
(α)「返り点」と「括弧」に付いて。 :(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_11.html
(β)「返り点」と「括弧」の条件。  :(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_15.html
(γ)「返り点」と「括弧」の条件(Ⅱ):(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_16.html
(δ)「返り点」は、下には戻らない。 :(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_20.html
(ε)「下中上点」等が必要な「理由」。:(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_22.html
(ζ)「返り点・モドキ」について。  :(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_24.html)⇒
 Web上には存在しますが、何故か、アクセス出来ません。
(η)「一二点・上下点」に付いて。  :(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_26.html
(θ)「括弧」の「順番」。      :(https://kannbunn.blogspot.com/2018/01/blog-post.html
(ι)「返り点」と「括弧」の関係   :(https://kannbunn.blogspot.com/2019/01/blog-post_21.html
等々、「その他、諸々」を、お読み下さい。―

―「昨日の記事」を「正確」に、書き直します。―
(01)
(ⅰ)P→Q├ ~P∨Q
    1 (1)  P→ Q A
     2(2)  P&~Q A
     2(3)  P    2&E
     2(4)    ~Q 2&E
    12(5)     Q 13MPP
    12(6)  ~Q&Q 45&I
    1 (7)   ~~Q 46RAA
    1 (8)     Q 7DN
    1 (9)  ~P∨Q 8∨I
(ⅱ)~P∨Q├ P→Q
1     (1) ~P∨ Q   A
 2    (2)  P&~Q   A
  3   (3) ~P      A
 2    (4)  P      2&E
 23   (5) ~P& P   34&I
  3   (6)~(P&~Q)  25RAA
   7  (7)     Q   A
 2    (8)    ~Q   2&E
 2 7  (9)  Q&~Q   78&I
   7  (ア)~(P&~Q)  29RAA
1     (イ)~(P&~Q)  1367ア∨E
    ウ (ウ)  P      A
     エ(エ)    ~Q   A
    ウエ(オ)  P&~Q   エオ&I
1   ウエ(カ)~(P&~Q)&
          (P&~Q)  イオ&I
1   ウ (キ)   ~~Q   エカRAA
1   ウ (ク)     Q   キDN
1     (ケ)  P→ Q   ウクCP
従って、
(01)により、
(02)
①  P→Q=PならばQである。
② ~P∨Q=Pでないか、Qである。
に於いて、
①=② である。
ものの、この「等式」を、「含意の定義」と、呼ぶことにする。
然るに、
(03)
(ⅰ)
1   (1) ∃x(Fx→Gx)     A
 2  (2)    Fa→Ga      A
 2  (3)   ~Fa∨Ga      2含意の定義
  4 (4)   ~Fa         A
  4 (5)∃x(~Fx)        4EI
  4 (6)∃x(~Fx)∨∃x(Gx) 5∨I
   7(7)       Ga      A
   7(8)        ∃x(Gx) 7EI
   7(9)∃x(~Fx)∨∃x(Gx) 8∨I
 2  (ア)∃x(~Fx)∨∃x(Gx) 24679∨E
1   (イ)∃x(~Fx)∨∃x(Gx) 12アEE
(ⅱ)
1    (1)∃x(~Fx)∨∃x(Gx) A
 2   (2)∃x(~Fx)        A
  3  (3)   ~Fa         A
  3  (4)   ~Fa∨Ga      3∨I
  3  (5)    Fa→Ga      4含意の定義
  3  (6) ∃x(Fx→Gx)     5EI
 2   (7) ∃x(Fx→Gx)     236EE
   8 (8)        ∃x(Gx) A
    9(9)           Ga  A
    9(ア)   ~Fa∨Ga      9∨I
    9(イ)    Fa→Ga      ア含意の定義
    9(ウ) ∃x(Fx→Gx)     イEI
   8 (エ) ∃x(Fx→Gx)     89ウEE
1    (オ) ∃x(Fx→Gx)     1278エ∨E
従って、
(03)により、
(04)
① ∃x( Fx→Gx)    =あるxがFであるならば、 そのxはGである。
② ∃x(~Fx)∨∃x(Gx)=あるxはFでないか、その、あるxはGである。
に於いて、
①=② である。
然るに、
(05)
② ∃x(~Fx)∨∃x(Gx)=あるxはFでないか、その、あるxはGである。
といふ「選言命題」に於いて、
② ∃x(~Fx)が「偽」であるならば、∃x( Gx)は「真」であり、
② ∃x( Gx)が「偽」であるならば、∃x(~Fx)は「真」であり、
② ∃x(~Fx)が「真」であるならば、∃x( Gx)の「真・偽」は「不明」であり、
② ∃x( Gx)が「真」であるならば、∃x(~Fx)の「真・偽」は「不明」である。
従って、
(04)(05)により、
(06)
① ∃x( Fx→Gx)=あるxがFであるならば、そのxはGである。
といふ「仮言命題」に於いても、
① ∃x(~Fx)が「偽」であるならば、∃x( Gx)は「真」であり、
① ∃x( Gx)が「偽」であるならば、∃x(~Fx)は「真」であり、
① ∃x(~Fx)が「真」であるならば、∃x( Gx)の「真・偽」は「不明」であり、
② ∃x( Gx)が「真」であるならば、∃x(~Fx)の「真・偽」は「不明」である。
従って、
(06)により、
(07)
① ∃x( Fx→Gx)=あるxがFであるならば、そのxはGである。
といふ「仮言命題」は、いづれにせよ、
① ∃x(~Fx)が「真」である。
といふことを、「否定」しない。
従って、
(08)
① ∃x(フランス人x→寛大x)=あるxがフランス人であるならば、そのxは寛大である。
といふ「仮言命題」は、
① ∃x(~フランス人x)=フランス人ではないxが存在する。
としても、「(ウソ)」には、ならない
然るに、
(09)
① ∃x(~フランス人x)=あるxはフランス人ではない。
といふ「命題」は、
① フランス人ではないxが、少なくとも、一人は存在する。
といふ「意味」である。
従って、
(09)により、
(10)
① ∃x(~フランス人x)=フランス人ではないxが存在する。
といふ「命題」は、
① 何人かのイギリス人がゐて、フランス人が一人もゐない
としても、「(本当)」である。
然るに、
(11)
③ ∃x(フランス人x&寛大x)=あるxはフランス人であって、尚且つ、xは寛大である。
といふ「連言命題」は、
③ フランス人であって、寛大なxが、少なくとも、一人はゐる。
といふ「意味」である。
従って、
(08)~(11)により、
(12)
① ∃x(フランス人x→寛大x)=あるxがフランス人であるならば、そのxは寛大である。
③ ∃x(フランス人x&寛大x)=あるxはフランス人であって、尚且つ、xは寛大である。
に於いて、
① であれば、「イギリス人だけがゐて、フランス人がゐない」としても、「真(本当)」であって、
③ であれば、「イギリス人だけがゐて、フランス人がゐない」場合には、「偽(ウソ)」になる。
従って、
(12)により、
(13)
① 幾人かのフランス人は寛大である(Some French are generous)。
といふ「命題」を、
① ∃x(フランス人x→寛大x)=あるxがフランス人であるならば、そのxは寛大である。
といふ風に、「翻訳」することは、「マチガイ」である。
従って、
(12)(13)により、
(14)
「すべてのフランス人は寛大である」は一種の条件文として適切に記号化されるので、これに同化(assimilate)してしまって、「幾らかのフランス人は寛大である」を、正しく「∃x(Fx&Gx)」と記号化するかわりに、むしろ「∃x(Fx→Gx)」とするのは、よくある間違い(common mistake)である。しかし、「∃x(Fx→Gx)」は、それがフランス人であるならば、寛大であるようなあるものが存在することを主張するのであって、これは、かりにフランス人存在しないとしても真であろう。しかし「幾らかのフランス人は寛大である」は決してそうではない(E.J.レモン 著、竹尾治一郎・浅野楢英 訳、論理学初歩、1973年、123・4頁改)。
といふ、ことになる。
然るに、
(03)(14)により、
(15)
しかし、「∃x(Fx→Gx)」は、それがフランス人であるならば、寛大であるようなあるものが存在することを主張するのであって、これは、かりにフランス人存在しないとしても真であろう
といふことを、「正確に、理解」するために、
(ⅰ)
1   (1) ∃x(Fx→Gx)     A
 2  (2)    Fa→Ga      A
 2  (3)   ~Fa∨Ga      2含意の定義
  4 (4)   ~Fa         A
  4 (5)∃x(~Fx)        4EI
  4 (6)∃x(~Fx)∨∃x(Gx) 5∨I
   7(7)       Ga      A
   7(8)        ∃x(Gx) 7EI
   7(9)∃x(~Fx)∨∃x(Gx) 8∨I
 2  (ア)∃x(~Fx)∨∃x(Gx) 24679∨E
1   (イ)∃x(~Fx)∨∃x(Gx) 12アEE
(ⅱ)
1    (1)∃x(~Fx)∨∃x(Gx) A
 2   (2)∃x(~Fx)        A
  3  (3)   ~Fa         A
  3  (4)   ~Fa∨Ga      3∨I
  3  (5)    Fa→Ga      4含意の定義
  3  (6) ∃x(Fx→Gx)     5EI
 2   (7) ∃x(Fx→Gx)     236EE
   8 (8)        ∃x(Gx) A
    9(9)           Ga  A
    9(ア)   ~Fa∨Ga      9∨I
    9(イ)    Fa→Ga      ア含意の定義
    9(ウ) ∃x(Fx→Gx)     イEI
   8 (エ) ∃x(Fx→Gx)     89ウEE
1    (オ) ∃x(Fx→Gx)     1278エ∨E
といふ「述語計算(Predicate calculation)」が、「正しい」といふことを、「理解」する「必要」がある。
従って、
(15)により、
(16)
① ∃x( Fx→Gx)    =あるxがFであるならば、xはGである。
② ∃x(~Fx)∨∃x(Gx)=あるxはFでないか、  xはGである。
に於いて、
①=② である。
といふことを、「理解」出来ない「段階」で、
しかし、「∃x(Fx→Gx)」は、それがフランス人であるならば、寛大であるようなあるものが存在することを主張するのであって、これは、かりにフランス人存在しないとしても真であろう
といふことに「合点がいかない」としても、已も得ないと、言ふべきである。
令和元年05月23日、毛利太。

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