2019年5月16日木曜日

「不患人之不己知」の「述語論理」。

―「返り点と括弧」に関しては、
(α)「返り点」と「括弧」に付いて。 :(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_11.html
(β)「返り点」と「括弧」の条件。  :(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_15.html
(γ)「返り点」と「括弧」の条件(Ⅱ):(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_16.html
(δ)「返り点」は、下には戻らない。 :(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_20.html
(ε)「下中上点」等が必要な「理由」。:(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_22.html
(ζ)「返り点・モドキ」について。  :(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_24.html)⇒
 Web上には存在しますが、何故か、アクセス出来ません。
(η)「一二点・上下点」に付いて。  :(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_26.html
(θ)「括弧」の「順番」。      :(https://kannbunn.blogspot.com/2018/01/blog-post.html
(ι)「返り点」と「括弧」の関係   :(https://kannbunn.blogspot.com/2019/01/blog-post_21.html
等々、「その他、諸々」を、お読み下さい。今となっては、どのやうなことを書いて、どのやうなことを書かなかったのか、ハッキリとは、覚えてはゐません。―
(01)
① 不患人之不己知、患不知人也=
① 不[患〔人之不(己知)〕]、患[不〔知(人)〕]也⇒
① [〔人之(己知)不〕患]不、[〔(人)知〕不]患也=
① [〔人の(己を知ら)ざる〕患へ]ず、[〔(人を)知ら〕ざるを]患ふるなり=
① 人が自分を知ってくれないことは心配せず、人を知らないことを心配する(三省堂、明解古典学習シリーズ16、論語 孟子、1973年、14頁)。
然るに、
(02)
(a)
1    (1)∀x{人x→∃y[(己y&~知xy&~患y)&(~知yx→患y)]}      A
1    (2)   人a→∃y[(己y&~知ay&~患y)&(~知ya→患y)]       1UE
 3   (3)   人a                                   A
13   (4)      ∃y[(己y&~知ay&~患y)&(~知ya→患y)]       23MPP
  5  (5)          己b&~知ab&~患b & ~知ba→患b         A
  5  (6)          己b&~知ab&~患b                   5&E
  5  (7)                        ~知ba→患b         5&E
   8 (8)                 ∃y(己y&~知ya&~患y)        A
    9(9)                    己b&~知ba&~患b         A
    9(ア)                       ~知ba             9&E
    9(イ)                            ~患b         9&E 
  5 9(ウ)                             患b         7アMPP
  5 9(エ)                         ~患b&患b         イウ&I
  58 (オ)                         ~患b&患b         89エEE
  5  (カ)                ~∃y(己y&~知ya&~患y)        8オRAA
  5  (キ)      ∃y(己y&~知xy&~患y)                   6EI
  5  (ク)      ∃y(己y&~知xy&~患y)&~∃y(己y&~知ya&~患y)  カキ&I
13   (ケ)      ∃y(己y&~知xy&~患y)&~∃y(己y&~知ya&~患y)  45クEE
1    (コ)   人a→∃y(己y&~知xy&~患y)&~∃y(己y&~知ya&~患y)  3ケCP
1    (サ)∀x{人a→∃y(己y&~知xy&~患y)&~∃y(己y&~知ya&~患y)} コUI
(b)   
1  (1)∀x{人x→∃y(己y&~知xy&~患y)&~∃y(己y&~知yx&~患y)} A
1  (2)   人a→∃y(己y&~知ay&~患y)&~∃y(己y&~知ya&~患y)  1UE
 2 (3)   人a                                   A
12 (4)      ∃y(己y&~知ay&~患y)&~∃y(己y&~知ya&~患y)  23MPP
12 (5)                      ~∃y(己y&~知ya&~患y)  4&E
12 (6)                      ∀y~(己y&~知ya&~患y)  5量化子の関係
12 (7)                        ~(己b&~知ba&~患b)  6UE
12 (8)                       ~己b∨~~知ba∨~~患b   7ド・モルガンの法則
12 (9)                      ~己b∨(~~知ba∨~~患b)  8結合法則
12 (ア)                       己b→(~~知ba∨~~患b)  9含意の定義
12 (イ)                       己b→( ~知ba→~~患b)  ア含意の定義
12 (ウ)                       己b→( ~知ba→  患b)  イDN
12 (エ)       ∃y(己y&~知ay&~患y)                  4&E
  オ(オ)          己b&~知ab&~患b                   A
  エ(カ)          己b                            オ&E
12エ(キ)                            ~知ba→  患b   ウカMPP
12エ(ク)         (己b&~知ab&~患b)&(~知ba→患b)        オキ&I
12エ(ケ)      ∃y[(己y&~知ay&~患y)&(~知ya→患y)]       クEI
12 (コ)      ∃y[(己y&~知ay&~患y)&(~知ya→患y)]       エオケEE
1  (サ)   人a→∃y[(己y&~知ay&~患y)&(~知ya→患y)]       1コCP
1  (シ)∀x{人x→∃y[(己y&~知xy&~患y)&(~知yx→患y)]}      サUI
従って、
(02)により、
(03)
② ∀x{人x→∃y[(己y&~知xy&~患y)&(~知yx→患y)]}
③ ∀x{人x→∃y(己y&~知xy&~患y)&~∃y(己y&~知yx&~患y)}
に於いて、
②=③ である。
然るに、
(04)
② ∀x{人x→∃y[(己y&~知xy&~患y)&(~知yx→患y)]}
③ ∀x{人x→∃y(己y&~知xy&~患y)&~∃y(己y&~知yx&~患y)}
は、それぞれ、
② すべてのxについて、xが人であるならば、あるyは己(自分)であって、xがyを知らなくとも、yは患へず、yがxを知らないないならば、yは患ふ。
③ すべてのxについて、xが人であるならば、あるyは己(自分)であって、xがyを知らなくとも、yは患へず、あるyは己(自分)であって、yがxを知らなくとも、yは患へない。といふことはない。
といふ、「意味」である。
然るに、
(05)
② xがyを知らなくとも、yは患へず、yがxを知らないないならば、yは患ふ。
に於いて、
② x=人
② y=自分
といふ「代入(置換)」を行ふと、
② 人が自分を知らなくとも、自分は患へず、自分が人を知らないないならば、自分は患ふ。
となって、このことを、「敷衍」をすると、
② 人が、自分を知ってくれないことは心配せず、自分が、人を知らないことを心配する。
といふ、「意味」になる。
従って、
(01)~(05)により、
(06)
① 不患人之不己知、患不知人也=
① 不[患〔人之不(己知)〕]、患[不〔知(人)〕]也⇒
① [〔人之(己知)不〕患]不、[〔(人)知〕不]患也=
① [〔人の(己を知ら)ざる〕患へ]ず、[〔(人を)知ら〕ざるを]患ふるなり=
① 人が自分を知ってくれないこは心配せず、人を知らないことを心配する。
といふ「漢文・訓読」は、
② ∀x{人x→∃y[(己y&~知xy&~患y)&(~知yx→患y)]}
③ ∀x{人x→∃y(己y&~知xy&~患y)&~∃y(己y&~知yx&~患y)}
といふ「述語論理」に、相当する。
然るに、
(07)
否定文で、目的語代名詞の場合、VとOの語順が逆になって、「否定+O+V」となる。
(三省堂、明解古典学習シリーズ16、論語 孟子、1973年、14頁)
従って、
(06)(07)により、
(08)
① 不知=否定++V。
であって、
① 不知=否定+V+
ではない。
従って、
(08)により、
(09)
① 不知 =否定++V。
であるため、
① 不知者=否定++V+者。
であるはずである。
従って、
(09)により、
(10)
① 不知者=否定++V+者。
であるならば、
① 不如者=否定++V+者。
である、はずであるが、何故か、「論語、学而、八」では、
① 不如者=否定++V+者。
ではなく、
② 不如者=否定+V++者。
といふ風に、なってゐる。
令和元年05月16日、毛利太。

0 件のコメント:

コメントを投稿