2019年5月15日水曜日

「人不知而不愠」の「述語論理」。

―「返り点と括弧」に関しては、
(α)「返り点」と「括弧」に付いて。 :(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_11.html
(β)「返り点」と「括弧」の条件。  :(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_15.html
(γ)「返り点」と「括弧」の条件(Ⅱ):(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_16.html
(δ)「返り点」は、下には戻らない。 :(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_20.html
(ε)「下中上点」等が必要な「理由」。:(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_22.html
(ζ)「返り点・モドキ」について。  :(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_24.html)⇒
 Web上には存在しますが、何故か、アクセス出来ません。
(η)「一二点・上下点」に付いて。  :(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_26.html
(θ)「括弧」の「順番」。      :(https://kannbunn.blogspot.com/2018/01/blog-post.html
(ι)「返り点」と「括弧」の関係   :(https://kannbunn.blogspot.com/2019/01/blog-post_21.html
等々、「その他、諸々」を、お読み下さい。今となっては、どのやうなことを書いて、どのやうなことを書かなかったのか、ハッキリとは、覚えてはゐません。―

(01)
① 人不知而不愠不亦君子乎=
① 人不(知)而不(愠)不(亦君子)乎⇒
① 人(知)不而(愠)不(亦君子)不乎=
① 人(知ら)ずして(愠み)ず(亦君子なら)ずや。
に於いて、
① 不亦君子乎=亦君子ならざるや。
といふ「漢文訓読」は、「反語」である。
然るに、
(02)
反語とは、表現されている内容と反対のことを意味する言い方で、多くは疑問形と同じ形であり、日本語でも、「そんなこと誰が知ろうか」と言う場合、「誰が知っているか」とたずねているのではなく、逆に「誰も知ってはいない」ということを言っているのである。けっきょく、肯定している場合は否定に、否定している場合は肯定の内容になる。
(旺文社、漢文の基礎、1973年、45頁)。
従って、
(01)(02)により、
(03)
① 不亦君子乎=亦君子ならざるや。
といふ「漢文訓読」は、「反語」であるため、「二重否定」による、「肯定」である。
従って、
(01)(03)により、
(04)
① 人不知而不愠不亦君子乎。
といふ「漢文」は、
① 人が自分の価値を認めてくれなくとも、気にかけないような人は、なんとりっぱな人ではないか(三省堂、明解古典学習シリーズ16、論語 孟子、1973年、2頁)。
といふ、「意味」になる。
然るに、
(05)
(α)
1    (1)∀x{人x→∃y[(私y&~知xy&~愠yx)→~~君子y]} A
1    (2)   人a→∃y[(私y&~知ay&~愠ya)→~~君子y]  1UE
 3   (3)   人a                           A
13   (4)      ∃y[(私y&~知ay&~愠ya)→~~君子y]  23MPP
  5  (5)         (私b&~知ab&~愠ba)→~~君子b   A
  5  (6)         (私b&~知ab&~愠ba)→  君子b   5DN
    7(7)   私b&~君子b                      A
    7(8)   私b                           7&E
    7(9)      ~君子b                      7&E
  5 7(ア)        ~(私b&~知ab&~愠ba)         69MTT
  5 7(イ)       ~私b∨~~知ab∨~~愠ba          ア、ド・モルガンの法則
  5 7(ウ)       ~私b∨  知ab∨  愠ba          イDN
  5 7(エ)       ~私b∨ (  知ab∨愠ba)         ウ結合法則
  5 7(オ)        私b→ (  知ab∨愠ba)         エ含意の定義
  5 7(カ)        私b→ (~~知ab∨愠ba)         オDN
  5 7(キ)        私b→ ( ~知ab→愠ba)         カ含意の定義
  5 7(ク)            ( ~知ab→愠ba)         8キMPP
  5  (ケ)   (私b&~君子b)→(~知ab→愠ba)         7クCP
  5  (コ)∃y[(私y&~君子y)→(~知ay→愠ya)]        ケEI
13   (サ)∃y[(私y&~君子y)→(~知ay→愠ya)]        45コEE
1    (シ)   人a→∃y[(私y&~君子y)→(~知ay→愠ya)]  3サCP
1    (ス)∀x{人x→∃y[(私y&~君子y)→(~知xy→愠yx)]} シUI
(β)
1     (1)∀x{人x→∃y[(私y&~君子y)→(~知xy→愠yx)]} A
1     (2)   人a→∃y[(私y&~君子y)→(~知ay→愠ya)]  1UE
 3    (3)   人a                           A
13    (4)      ∃y[(私y&~君子y)→(~知ay→愠ya)]  23MPP
  5   (5)         (私b&~君子b)→(~知ab→愠ba)   A
   6  (6)          私b                    A
    7 (7)             ~君子b               A
   67 (8)          私b&~君子b               67&I
  567 (9)                   (~知ab→愠ba)   58MPP
  5 7 (ア)          私b→(~知ab→愠ba)         69CP
  5 7 (イ)         私b→(~~知ab∨愠ba)         ア含意の定義
  5 7 (ウ)           私b→(知ab∨愠ba)         イDN
  5 7 (エ)          ~私b∨(知ab∨愠ba)         ウ含意の定義
  5 7 (オ)         (~私b∨ 知ab∨愠ba)         エ結合法則
  5   (カ)    ~君子b→(~私b∨ 知ab∨愠ba)         7オCP
     キ(キ)        ~(~私b∨ 知ab∨愠ba)         A
  5  キ(ク)   ~~君子b                        カキMTT
  5   (ケ)        ~(~私b∨ 知ab∨愠ba)→~~君子b   キクCP
  5   (コ)       (~~私b&~知ab&~愠ba)→~~君子b   ケ、ド・モルガンの法則
  5   (サ)         (私b&~知ab&~愠ba)→~~君子b   コDN
  5   (シ)      ∃y[(私y&~知ay&~愠ya)→~~君子y]  サEI
13    (ス)      ∃y[(私y&~知ay&~愠ya)→~~君子y]  45シEE
1     (セ)   人a→∃y[(私y&~知ay&~愠ya)→~~君子y]  3スCP
1     (ソ)∀x{人x→∃y[(私y&~知xy&~愠yx)→~~君子y]} セUI
従って、
(05)により、
(06)
(α)∀x{人x→∃y[(私y&~知xy&~愠yx)→~~君子y]}
(β)∀x{人x→∃y[(私y&~君子y)→(~知xy→愠yx)]}
に於いて、すなはち、
(α)すべてのxについて、xが人であるならば、あるyは私であって、xはyを知らず、yはxを恨まないならば、yは君子ではない、ではない。
(β)すべてのxについて、xが人であるならば、あるyが私であって、yが君子でないならば、xがyを知らなければ、yはxを恨む。
に於いて、
(α)=(β)である。
従って、
(06)により、
(07)
(α)∀x{人x→∃y[(私y&~知xy&~愠yx)→~~君子y]}
(β)∀x{人x→∃y[(私y&~君子y)→(~知xy→愠yx)]}
といふ「述語論理」は、
(α)人(他者)が、私(自分)を知らなくとも(正当に評価しくとも)、人(他者)を恨まないのであれば、自分(私)は、「君子」である。
(β)人(他者)が、私(自分)を知らない(正当に評価しない)場合に、私(自分)が「君子」でないならば、自分(私)は、人(他者)を恨む。
といふ「意味」を、表すことが、出来る。
従って、
(03)(07)により、
(08)
① 人不知而不愠不亦君子乎=
① 人不(知)而不(愠)不(亦君子)乎⇒
① 人(知)不而(愠)不(亦君子)不乎=
① 人(知ら)ずして(愠み)ず(亦君子なら)ざるや=
① 自分を正当評価しない人に対しても、不満に思はない人は、何と、立派な人ではないか。
といふ「漢文・訓読」は、
② ∀x{人x→∃y[(私y&~知xy&~愠yx)→~~君子y]}
③ ∀x{人x→∃y[(私y&~君子y)→(~知xy→愠yx)]}
といふ「述語論理」に、相当する。
令和元年05月15日、毛利太。

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