2020年5月12日火曜日

「述語論理の公理(の4分3)」は「命題論理の定理」である。

(01)
述語論理の公理系は次のように与えられる。ここにP,Q,Rは任意の論理式とする。
― 述語論理の公理系 ―
A1: P→(Q→P)
A2:(P→(Q→R))→((P→Q)→(P→R))
A3:(~P→~Q)→((~P→Q)→P)
A4:∀xP[x]→P[y]
  P[x]はPが論理変項xもつことを意味し、P[y]はP[x]のxをyにかえた論理式を意味する。
(長尾真・淵一博、論理と意味、1983年、59頁)
然るに、
(02)
A1:
1     (1)  P      A
1     (2) ~Q∨ P   A
 3    (3)  Q&~P   A
  4   (4) ~Q      A
 3    (5)  Q      3&E
 34   (6) ~Q&Q    45&I
  4   (7)~(Q&~P)  36RAA
   8  (8)     P   A
 3    (9)    ~P   3&E
 3 8  (ア)  P&~P   89&I
   8  (イ)~(Q&~P)  3アRAA
1     (ウ)~(Q&~P)  2478イ∨E
    エ (エ)  Q      A
     カ(カ)    ~P   A
    エカ(キ)  Q&~P   エカ&I
1   エカ(ク)~(Q&~P)&
          (Q&~P)  イキ&I
1   エ (ケ)   ~~P   カクRAA
1   エ (コ)     P   ケDN
1     (サ)   Q→P   エコCP
      (シ)P→(Q→P)  1サCP
A2:
1  (1) P→(Q→R)     A
 2 (2) P→ Q        A
  3(3) P           A
1 3(4)    Q→R      13MPP
 23(5)    Q        23MPP
123(6)           R      45MPP
12 (7)      P→R    36CP
1  (8)(P→Q)→(P→R)  27CP
   (9)(P→(Q→R))→
     ((P→Q)→(P→R)) 18CP
A3:
1  (1) ~P→~Q    A
 2 (2) ~P→ Q    A
  3(3) ~P       A
1 3(4)    ~Q    13MPP
 23(5)     Q    23MPP
123(6)  ~Q&Q    45&
12 (7)~~P       36RAA
12 (8)  P       7DN
1  (9)(~P→Q)→P
   (ア)(~P→~Q)→
     ((~P→Q)→P) 19CP
従って、
(02)により、
(03)
① ├  P→(Q→P)
② ├(P→(Q→R))→((P→Q)→(P→R))
③ ├(~P→~Q)→((~P→Q)→P)
といふ「連式」は、「妥当」である。
然るに、
(04)
定理とは仮定の数ゼロの証明可能な連式の結論である。― 中略 ―
興味のある定理の大ていのものは、事実上 CPを適用することによって導かれる。たとえば、
38 ├ P→P
 1(1)P A
  (2)P→P 1,1CP
(E.j.レモン 著、竹尾治一郎・楢英 訳、1973年、64頁)
従って、
(04)により、
(05)
④ ├ P→P(同一律)
がさうであるやうに、
① ├  P→(Q→P)
② ├(P→(Q→R))→((P→Q)→(P→R))
③ ├(~P→~Q)→((~P→Q)→P)
といふ「仮定の数ゼロの証明可能な連式の結論」は、「3つとも、定理(恒真式)」である。
従って、
(01)(05)により、
(06)
― 述語論理の公理系 ―
A1: P→(Q→P)
A2:(P→(Q→R))→((P→Q)→(P→R))
A3:(~P→~Q)→((~P→Q)→P)
A4:∀xP[x]→P[y]
といふ「述語論理の、4つの公理」の内の「3つ」は、「命題論理恒真式」である。
令和02年05月12日、毛利太。

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