(01)
定理とは仮定の数がゼロの証明可能な連式の結論である。― 中略 ―
興味のある定理の大ていのものは、事実上 CPを適用することによって導かれる。たとえば、
38 ├ P→P
1(1)P A
(2)P→P 1,1CP
(E.j.レモン 著、竹尾治一郎・楢英 訳、1973年、64頁)
然るに、
(02)
5 条件的証明 Conditional Proof(CP)
Aを仮定してBの証明が与えられたならば、A→B を、A以外の仮定(もしあるならば)に基づく結論として導出してよい。
10 背理法 Reductio ad Absurdum(RAA)
Aを仮定して B&~B が証明されるならば、~Aを結論として、A以外の仮定(もしあるならば)から導出してよい。
(E.j.レモン 著、竹尾治一郎・楢英 訳、1973年、51頁)
然るに、
(03)
A以外の仮定(もしあるならば)に基づく結論として導出してよい。
A以外の仮定(もしあるならば)から導出してよい。
といふことは、
(もしA以外に仮定がないならば)「結論」を得た「時点」で、「仮定の数がゼロになる」。
といふ、ことである。
従って、
(01)(02)(03)により、
(04)
「条件的証明(CP)」、または「背理法(RAA)」を用ひずに、「証明」出来る「定理」は無い。
然るに、
(05)
さらにひとつ、排中律(Law of excluded middle)とよばれる重要な定理があるが、これは形式が条件法ではないので、最後にCPを適用して証明するということができない。
44 ├ P∨~P
1 (1) ~(P∨~P) A
2(2) P A
2(3) P∨~P 2∨I
12(4) ~(P∨~P)&
(P∨~P) 13&I
1 (5) ~P 24RAA
1 (6) P∨~P 5∨I
1 (7) ~(P∨~P)&
(P∨~P) 16&I
(8)~~(P∨~P) 17RAA
(9) P∨~P 8DN
(E.j.レモン 著、竹尾治一郎・楢英 訳、1973年、66頁)
従って、
(04)(05)により、
(06)
44 ├ P∨~P
の場合は、
(8)~~(P∨~P) 17RAA
といふ「結論」を得るに当たって、「背理法(RAA)」を適用してゐる。
(07)
1 (1) ~(P∨~P) A
2 (2) ~(~P& P) A
3 (3) P A
3 (4) P∨~P 3∨I
1 3 (5) ~(P∨~P)&
(P∨~P) 14&I
1 (6) ~P 35RAA
7(7) ~P A
7(8) P∨~P 7∨I
1 7(9) ~(P∨~P)&
(P∨~P) 18&I
1 (ア) ~~P 79RAA
1 (イ) P アDN
1 (ウ) ~P& P 6イ&I
12 (エ) ~(~P& P)&
(~P& P) 2ウ&I
1 (オ)~~(~P& P) 2エRAA
1 (カ) ~P& P オDN
(キ) ~~(P∨~P) 1カRAA
(ク) P∨~P キDN
cf.
1(1) ~(P∨~P) A
1(2) ~P& P 1ド・モルガンの法則
(3)~~(P∨~P) 12RAA
(4) P∨~P 3DN
従って、
(04)(07)により、
(08)
「計算(07)」に於いても、
(キ) ~~(P∨~P) 1カRAA
といふ「結論」を得るに当たって、「背理法(RAA)」を適用してゐる。
然るに、
(09)
「背理法(Reductio ad Absurdum)」といふのは、
① Pであるか、Pでないかの、いづれかである(排中律)。然るに、
② Pでないと「仮定」した場合は「矛盾」が生じる。従って、
③ Pでない。とは言へないのだから、Pである。
といふ「理屈」である。
従って、
(05)~(09)により、
(10)
「排中律(Law of excluded middle)」を「証明」する際には、
「背理法(Reductio ad Absurdum)」 が用ひられ、尚且つ、
「背理法(Reductio ad Absurdum)」 が「正しい」と言へるためには、
「排中律(Law of excluded middle)」が「正しい」ことを、「必要」とする。
従って、
(10)により、
(11)
「排中律(Law of excluded middle)」と、
「背理法(Reductio ad Absurdum)」 は、「セット」になってゐる。
令和02年05月11日、毛利太。
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