2020年5月11日月曜日

「排中律」と「背理法」について。

(01)
定理とは仮定の数がゼロの証明可能な連式の結論である。― 中略 ―
興味のある定理の大ていのものは、事実上 CPを適用することによって導かれる。たとえば、
38 ├ P→P
 1(1)P A
  (2)P→P 1,1CP
(E.j.レモン 著、竹尾治一郎・楢英 訳、1973年、64頁)
然るに、
(02)
 5 条件的証明 Conditional Proof(CP)
  Aを仮定してBの証明が与えられたならば、A→B を、A以外の仮定(もしあるならば)に基づく結論として導出してよい。
10 背理法 Reductio ad Absurdum(RAA)
  Aを仮定して B&~B が証明されるならば、~Aを結論として、A以外の仮定(もしあるならば)から導出してよい。
(E.j.レモン 著、竹尾治一郎・楢英 訳、1973年、51頁)
然るに、
(03)
  A以外の仮定(もしあるならば)に基づく結論として導出してよい。
  A以外の仮定(もしあるならば)から導出してよい。
といふことは、
 (もしA以外に仮定がないならば)「結論」を得た「時点」で、「仮定の数がゼロになる」。
 といふ、ことである。
従って、
(01)(02)(03)により、
(04)
「条件的証明(CP)」、または「背理法(RAA)」を用ひずに、「証明」出来る「定理」は無い。
然るに、
(05)
さらにひとつ、排中律(Law of excluded middle)とよばれる重要な定理があるが、これは形式が条件法ではないので、最後にCPを適用して証明するということができない
44 ├ P∨~P
1 (1) ~(P∨~P)  A
 2(2)   P      A
 2(3)   P∨~P   2∨I
12(4) ~(P∨~P)&
       (P∨~P)  13&I
1 (5)  ~P      24RAA
1 (6)   P∨~P   5∨I
1 (7) ~(P∨~P)&
       (P∨~P)  16&I
  (8)~~(P∨~P)  17RAA
  (9)   P∨~P   8DN
(E.j.レモン 著、竹尾治一郎・楢英 訳、1973年、66頁)
従って、
(04)(05)により、
(06)
44 ├ P∨~P
の場合は、
  (8)~~(P∨~P)  17RAA
といふ「結論」を得るに当たって、「背理法RAA)」を適用してゐる。
(07)
1   (1)  ~(P∨~P)  A
 2  (2) ~(~P& P)  A
  3 (3)    P      A
  3 (4)    P∨~P   3∨I
1 3 (5)  ~(P∨~P)&
          (P∨~P)  14&I
1   (6)   ~P      35RAA
   7(7)      ~P   A
   7(8)    P∨~P   7∨I
1  7(9)  ~(P∨~P)&
          (P∨~P)  18&I
1   (ア)     ~~P   79RAA
1   (イ)       P   アDN
1   (ウ)   ~P& P   6イ&I
12  (エ) ~(~P& P)&
         (~P& P)  2ウ&I
1   (オ)~~(~P& P)  2エRAA
1   (カ)   ~P& P   オDN
    (キ) ~~(P∨~P)  1カRAA
    (ク)    P∨~P   キDN
cf.
1(1) ~(P∨~P) A
1(2)  ~P& P  1ド・モルガンの法則
 (3)~~(P∨~P) 12RAA
 (4)   P∨~P  3DN
従って、
(04)(07)により、
(08)
「計算(07)」に於いても、
    (キ) ~~(P∨~P)  1カRAA
といふ「結論」を得るに当たって、「背理法RAA)」を適用してゐる。
然るに、
(09)
「背理法(Reductio ad Absurdum)」といふのは、
① Pであるか、Pでないかの、いづれかである排中律)。然るに、
② Pでないと「仮定」した場合は「矛盾」が生じる。従って、
③ Pでないとは言へないのだから、Pである
といふ「理屈」である。
従って、
(05)~(09)により、
(10)
「排中律(Law of excluded middle)」を「証明」する際には、
「背理法(Reductio ad Absurdum)」 が用ひられ、尚且つ、
「背理法(Reductio ad Absurdum)」 が「正しい」と言へるためには、
「排中律(Law of excluded middle)」が「正しい」ことを、「必要」とする。
従って、
(10)により、
(11)
「排中律(Law of excluded middle)」と、
「背理法(Reductio ad Absurdum)」 は、「セット」になってゐる。
令和02年05月11日、毛利太。

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