2020年1月28日火曜日

「素朴対偶論」と「未然形」。

(01)
① Pであるならば、Qである。
② Pであって、  Qでない。といふことはない。
③ Qでなくて、  Pである。といふことはない。
④ Qでないならば、Pでない。
に於いて、
①=②=③=④ である。
といふ「等式」を「素朴対偶論」とする。
従って、
(02)
「素朴対偶論」により、「記号」で書くならば、
①    P→ Q
② ~( P&~Q)
③ ~(~Q& P)
④   ~Q→~P
に於いて、
①=②=③=④ である。
然るに、
(03)
(ⅴ)
1 (1) ~(P→ Q)  A
 2(2) ~(P&~Q)  A
 2(3)  ~P∨ Q   2ド・モルガンの法則
 2(4)   P→ Q   3含意の定義
12(5) ~(P→ Q)&
       (P→ Q)  12&I
1 (6)~~(P&~Q)  25RAA
1 (7)   P&~Q   6DN
(ⅵ)
1 (1)   P&~Q   A
 2(2)   P→ Q   A
 2(3)   P      1&E
12(4)      Q   23MPP
1 (5)     ~Q   1&E
12(6)   Q&~Q   45&I
1 (7) ~(P→ Q)  26RAA
従って、
(03)により、
(04)
⑤ ~(P→ Q)
⑥   P&~Q
に於いて、
⑤=⑥ である。
然るに、
(05)
(ⅵ)
1 (1)   P&~Q   A
1 (2)  ~Q      1&E
1 (3)      P   1&E
1 (4)  ~Q& P   23&I
(ⅶ)
1 (1)  ~Q& P   A
1 (2)   P      1&E
1 (3)     ~Q   1&E
1 (4)   P&~Q   23&I
従って、
(05)により、
(06)
⑥   P&~Q
⑦ ~Q&  P
に於いて、
⑥=⑦ である。
然るに、
(07)
(ⅶ)
1 (1)  ~Q&  P  A
 2(2)  ~Q→~P  A
1 (3)  ~Q     A
12(4)     ~P  23MPP
1 (5)      P  1&E
12(6)   ~P&P  45&I
1 (7)~(~Q→~P) 2RAA
(ⅷ)
1   (1) ~(~Q→~P)  A
 2  (2) ~(~Q&  P)  A
 2  (3)    Q∨~P   2ド・モルガンの法則
  4 (4)    Q      A
  4 (5)  ~~Q      4DN
  4 (6)  ~~Q∨~P   5∨I
   7(7)      ~P   A
   7(8)  ~~Q∨~P   7∨I
 2  (9)  ~~Q∨~P   34678∨E
 2  (ア)   ~Q→~P   9含意の定義
12  (イ) ~(~Q→~P)&
         (~Q→~P)  1ア&I
1   (ウ)~~(~Q→~P)  2イRAA
1   (エ)   ~Q→~P   ウDN
従って、
(07)により、
(08)
⑦     ~Q&  P
⑧ ~(~Q→~P)
に於いて、
⑦=⑧ である。
従って、
(04)(06)(08)により、
(09)
⑤  ~(P→ Q)
⑥    P&~Q
⑦     ~Q&  P
⑧ ~(~Q→~P)
に於いて、
⑤=⑥     である。
  ⑥=⑦   である。
    ⑦=⑧ である。
従って、
(09)により、
(10)
⑤  ~(P→ Q)
⑥    P&~Q
⑦     ~Q&  P
⑧ ~(~Q→~P)
に於いて、
⑤=⑥=⑦=⑧ である。
従って、
(10)により、
(11)
⑤   ~(P→ Q)
⑥     P&~Q
⑦      ~Q&  P
⑧  ~(~Q→~P)
に於ける、それぞれの、「否定」である、
①  ~~(P→ Q)
②   ~(P&~Q)
③  ~(~Q&  P)
④ ~~(~Q→~P)
に於いて、
①=②=③=④ である。
従って、
(01)(02)(11)により、
(12)
「二重否定の除去」により、
①    P→ Q
②  ~(P&~Q)
③ ~(~Q& P)
④   ~Q→~P
に於いて、
①=②=③=④ である。
従って、
(10)(12)により、
(13)
①    P→ Q
②  ~(P&~Q)
③ ~(~Q& P)
④   ~Q→~P
⑤  ~(P→ Q)
⑥    P&~Q
⑦     ~Q&  P
⑧ ~(~Q→~P)
に於いて、
①=②=③=④ であって、
⑤=⑥=⑦=⑧ であって、
⑤ は、① の「否定」であり、
⑥ は、② の「否定」であり、
⑦ は、③ の「否定」であり、
⑧ は、④ の「否定」である。
然るに、
(14)
② ~(P&~Q)≡(Pであって、Qでない。)といふことはない。
といふのであれば、
② は、「Pである。」とは言ってゐないし、「Qでない。」とも言ってゐない。
従って、
(01)(02)(12)(14)により、
(15)
①     P→ Q  ≡ Pならば、 Qである。
② ~(P&~Q)≡(Pであって、Qでない。)といふことはない。
に於いて、
② は、「Pである。」とは言ってゐないし、「Qでない。」とも言ってゐない。
① も、「Pである。」とは言ってゐないし、「Qでない。」とも言ってゐない。
然るに、
(16)
  未然 連用    終止 連体 已然 命令
① なら なり(に) なり なる なれ なれ (体言・連体形に接続)
① 断定を表す。
然るに、
(17)
未然―「未だ然からず」、すなわち「まだ、そうなってゐない」の意である。
(中村菊一、基礎からわかる古典文法、1978年、23頁)
従って、
(16)(17)により、
(18)
① Pなら未然形)ばQである。
といふ「日本語」は、
まだ、Pではないが、Pが起これば、Qである。
といふ「意味」である。
然るに、
(19)
① まだ、Pではないが、Pが起これば、Qである。
として、
④ Qでない
といふのであれば、
④ まだ、Pは起こってはゐない
といふことになる。
然るに、
(20)
④ まだ、Pは起こってはゐない
といふことは、
④ まだ、Pでない
といふ、ことである。
従って、
(19)(20)により、
(21)
① まだ、Pではないが、Pが起これば、Qである。
といふのであれば、
④ まだ、Qではない、ならば、まだ、Pではない
といふ、ことになる。
然るに、
(22)
① まだ、Pではないが、Pが起これば、Qである。
④ まだ、Qではない、ならば、まだ、Pではない
といふことは、
① Pであるなら(未然形)ばQである。
④ Qでないなら(未然形)ばPでない
といふことである。
従って、
(12)(16)(17)(22)により、
(23)
①  P→ Q≡Pであるなら(未然形)ばQである。
④ ~Q→~P≡Qでないなら(未然形)ばPでない。
に於いて、
①=④ である。といふことは、
  未然 連用 終止 連体 已然 命令
① なら なり なり なる なれ なれ
といふ「活用」に於ける、
未然―「未だ然からず」、すなわち「まだ、そうなってゐない」の意である。
といふことからしても、「正しい」。
然るに、
(13)により、
(24)
① P→ Q≡PであるならばQである。
⑥ P&~Q≡Pであって、 Qでない。
に於いて、
① と ⑥ は、「矛盾」する。
然るに、
(25)
(ⅰ)
1 (1)  P→ Q  A
 2(2)  P&~Q  A
 2(3)  P     2&E
12(4)     Q  12MPP
 2(5)    ~Q  2&E
12(6)  Q&~Q  45&I
1 (7)~(P&~Q) 26RAA
(ⅱ)
1 (1)   P&~Q   A
 2(2)   P→ Q   A
1 (3)~(~P∨ Q)  1ド・モルガンの法則
 2(4)  ~P∨ Q   2含意の定義
12(5)~(~P∨ Q)&
      (~P∨ Q)  34&I
1 (6) ~(P→ Q)  25RAA
従って、
(24)(25)により、
(26)
① P→ Q≡PであるならばQである。
⑥ P&~Q≡Pであって、 Qでない。
に於いて、
① と ⑥ は、確かに、「矛盾」する。
然るに、
(27)    
⑥ P&~Q≡Pであって、Qでない。
といふのであれば、
⑥ は、「Pである。」と言ってゐるし、「Qでない。」とも言ってゐる。
然るに、
(15)により、
(28)
① P→ Q≡PであるならばQである。
といふのであれば、
① は、「Pである。」とは言ってゐないし、「Qでない。」とも言ってゐない。
従って、
(27)(28)により、
(29)
① P→ Q≡PであるならばQである。
⑥ P&~Q≡Pであって、 Qでない。
に於いて、
① は、「Pである。」とは言ってゐないし、「Qでない。」とも言ってゐない
⑥ は、「Pである。」と、言ってゐるし、 「Qでない。」とも言ってゐる。
従って、
(26)(29)により、
(30)
① P→ Q≡PであるならばQである。
⑥ P&~Q≡Pであって、 Qでない。
に於いて、
① と ⑥ は、確かに、「矛盾」する。
令和02年01月28日、毛利太。

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