2020年1月25日土曜日

「パースの法則」の「証明」の「説明」。

(01)
命題計算では、パースの法則は ((P→Q)→P)→P のことを言う。この意味するところを書き出すと、命題Pについて、命題Qが存在して、「PならばQ」からPが真であることが従うときには、Pは真でなければならないとなる。とりわけ、Qとして偽を選んだ場合には、Pから偽が従うときは常にPが真であるならば、Pは真であるとなる。
パースの法則は直観論理や中間命題論理では成立せず、演繹定理だけからでは導くことができない(ウィキペディア)。
従って、
(01)により、
(02)
①((P→Q)→P)→P
①((PならばQ)ならばPならば)Pである。
といふ「パースの法則」は、「演繹定理だけからでは導くことができない」(ウィキペディア)。
然るに、
(03)
連式に対して10個の原始的規則のみを用いて証明が見出されるならば、その連式を、簡単な言いかたをとって、導出可能(deriable)であるとよぶことにしよう。―中略、―
メタ定理1:すべての導出可能な連式は、トートロジーである。
(E.J.レモン、論理学初歩、竹尾治一郎・浅野楢英 訳、1973年、97頁)
(04)
原始的規則よって導出できる連式はすべてトートロジー的であり、従ってメタ定理がえられることになる。
(E.J.レモン、論理学初歩、竹尾治一郎・浅野楢英 訳、1973年、102頁)
然るに、
(05)
メタ定理1:すべての導出可能な連式は、トートロジーである。
といふ「定理」を導く際に用ひられてゐるのは、『演繹定理』だけである。
従って、
(03)(04)(05)により、
(06)
   (1)    P→P        TI(同一律:PならばPである。)
   (2)   ~P∨P        1含意の定義(または、排中律。)
3  (3)   ~P          A
3  (4)   ~P∨Q        3∨I
3  (5)    P→Q        4含意の定義
3  (6)   (P→Q)&~P    34&I
3  (7)~(~(P→Q)∨ P)   6ド・モルガンの法則
 8 (8)   (P→Q)→ P    A
 8 (9)  ~(P→Q)∨ P    8含意の定義
38 (ア)~(~(P→Q)∨ P)&
       (~(P→Q)∨ P)   79&I
3  (イ) ~((P→Q)→ P)   8アRAA
3  (ウ) ~((P→Q)→ P)∨P イ∨I
  エ(エ)      P        A
  エ(オ) ~((P→Q)→ P)∨P エ∨I
   (カ) ~((P→Q)→ P)∨P 13ウエオ∨E
   (キ)  ((P→Q)→ P)→P カ含意の定義
   (〃)  ((PならばQ)ならばPならば)Pである。 カ含意の定義
といふ「計算」で用ひられてゐる、「排中律」と、「含意の定義」と、「ド・モルガンの法則」が、「(E.J.レモンの)10個の原始的規則」から、「導出」出来るのであれば、
①((P→Q)→P)→P
①((PならばQ)ならばPならば)Pである。
といふ「パースの法則」は、「演繹定理だけからでは導くことができない」(ウィキペディア)。
といふことは、「本当」ではない
といふ、ことになる。
(07)
さうでなければ、固より、「以上の計算(06)」が「マチガイ」である。
といふことになるものの、「以上の計算(06)」に「マチガイ」はない。
然るに、
(08)
44├ ~P∨P
1 (1) ~(~P∨P)  A
 2(2)   ~P     A
 2(3)   ~P∨P   2∨I
12(4) ~(~P∨P)&
       (~P∨P)  13&I
1 (5)  ~~P     24RAA
1 (6)    P     5DN
1 (7)   ~P∨P   6∨I
1 (8) ~(~P∨P)&
       (~P∨P)  17&I
  (9)~~(~P∨P)  18RAA
  (ア)   ~P∨P   9DN
(E.J.レモン、論理学初歩、竹尾治一郎・浅野楢英 訳、1973年、66頁改)
従って、
(06)(08)により、
(09)
(2)   ~P∨P        1含意の定義(または、排中律。)
は、「(E.J.レモンの)10個の原始的規則」から、「導出」出来る。
然るに、
(10)
(ⅰ)
1  (1)    P→Q   A
 2 (2) ~(~P∨Q)  A
  3(3)   ~P     A
  3(4)   ~P∨Q   3∨I
 23(5) ~(~P∨Q)&
        (~P∨Q)  24&I
 2 (6)  ~~P     35RAA
 2 (7)    P     6DN
12 (8)      Q   17MPP
12 (9)   ~P∨Q   8∨I
12 (ア) ~(~P∨Q)&
        (~P∨Q)  29&I
1  (イ)~~(~P∨Q)  2アRAA
1  (ウ)   ~P∨Q   イDN
(ⅱ)
1      (1)  ~P∨ Q   A
 2     (2) ~(P→ Q)  A
  3    (3)   P&~Q   A
   4   (4)  ~P      A
  3    (5)   P      3&E
  34   (6)  ~P& P   45&I
   4   (7) ~(P&~Q)  36RAA
    8  (8)      Q   A
  3    (9)     ~Q   3&E
  3 8  (ア)   Q&~Q   89&I
    8  (イ) ~(P&~Q)  3アRAA
1      (ウ) ~(P&~Q)  1478イ∨E
     エ (エ)   P      A
      オ(オ)     ~Q   A
     エオ(カ)   P&~Q   エオ&I
1    エオ(キ) ~(P&~Q)&
            (P&~Q)  ウカ&I
1    エ (ク)    ~~Q   オキRAA
1    エ (ケ)      Q   クDN
1      (コ)    P→Q   エケCP
12     (サ)  ~(P→Q)&
            (P→ Q)  2コ&I
1      (シ)~~(P→ Q)  2サRAA
1      (ス)   P→ Q   シDN
(ⅲ)
1  (1)    (P→Q)→P   A
 2 (2) ~(~(P→Q)∨P)  A
  3(3)   ~(P→Q)     A
  3(4)   ~(P→Q)∨P   3∨I
 23(5) ~(~(P→Q)∨P)&
        (~(P→Q)∨P)  24&I
 2 (6)  ~~(P→Q)     35RAA
 2 (7)    (P→Q)     6DN
12 (8)          P   17MPP
12 (9)   ~(P→Q)∨P   8∨I
12 (ア) ~(~(P→Q)∨P)&
        (~(P→Q)∨P)  29&I
1  (イ)~~(~(P→Q)∨P)  2アRAA
1  (ウ)   ~(P→Q)∨P   イDN
(ⅳ)
1      (1)  ~(P→Q)∨ P   A
 2     (2) ~((P→Q)→ P)  A
  3    (3)   (P→Q)&~P   A
   4   (4)  ~(P→Q)      A
  3    (5)   (P→Q)      3&E
  34   (6)  ~(P→Q)&
             (P→Q)      45&I
   4   (7) ~((P→Q)&~P)  36RAA
    8  (8)          P   A
  3    (9)         ~P   3&E
  3 8  (ア)       P&~P   89&I
    8  (イ) ~((P→Q)&~P)  3アRAA
1      (ウ) ~((P→Q)&~P)  1478イ∨E
     エ (エ)   (P→Q)      A
      オ(オ)         ~P   A
     エオ(カ)   (P→Q)&~P   エオ&I
1    エオ(キ) ~((P→Q)&~P)&
            ((P→Q)&~P)  ウカ&I
1    エ (ク)        ~~P   オキRAA
1    エ (ケ)          P   クDN
1      (コ)   (P→Q)→ P   エケCP
12     (サ) ~((P→Q)→ P)&
            ((P→Q)→ P)  2コ&I
1      (シ)~~((P→Q)→ P)  2サRAA
1      (ス)   (P→Q)→ P   シDN
(ⅴ)
1  (1)    ((P→Q)→P)→P   A
 2 (2) ~(~((P→Q)→P)∨P)  A
  3(3)   ~((P→Q)→P)     A
  3(4)   ~((P→Q)→P)∨P   3∨I
 23(5) ~(~((P→Q)→P)∨P)&
        (~((P→Q)→P)∨P)  24&I
 2 (6)  ~~((P→Q)→P)     35RAA
 2 (7)    ((P→Q)→P)     6DN
12 (8)              P   17MPP
12 (9)   ~((P→Q)→P)∨P   8∨I
12 (ア) ~(~((P→Q)→P)∨P)&
        (~((P→Q)→P)∨P)  29&I
1  (イ)~~(~((P→Q)→P)∨P)  2アRAA
1  (ウ)   ~((P→Q)→P)∨P   イDN
(ⅵ)
1      (1)  ~((P→Q)→P)∨ P   A
 2     (2) ~(((P→Q)→P)→ P)  A
  3    (3)   ((P→Q)→P)&~P   A
   4   (4)  ~((P→Q)→P)      A
  3    (5)   ((P→Q)→P)      3&E
  34   (6)  ~((P→Q)→P)& 
             ((P→Q)→P)      45&I
   4   (7) ~(((P→Q)→P)&~P)  36RAA
    8  (8)              P   A
  3    (9)             ~P   3&E
  3 8  (ア)           P&~P   89&I
    8  (イ) ~(((P→Q)→P)&~P)  3アRAA
1      (ウ) ~(((P→Q)→P)&~P)  1478イ∨E
     エ (エ)   ((P→Q)→P)      A
      オ(オ)             ~P   A
     エオ(カ)   ((P→Q)→P)&~P   エオ&I
1    エオ(キ) ~(((P→Q)→P)&~P)&
            (((P→Q)→P)&~P)  ウカ&I
1    エ (ク)            ~~P   オキRAA
1    エ (ケ)             P    クDN
1      (コ)   ((P→Q)→P)→P    エケCい
12     (サ) ~(((P→Q)→P)→P)&
            (((P→Q)→P)→P)   2コ&I
1      (シ)~~(((P→Q)→P)→P)   2サRAA
1      (ス)   ((P→Q)→P)→P    シDN
従って、
(06)(10)により、
(11)
3  (4)   ~P∨Q       3∨I
3  (5)    P→Q       4含意の定義
 8 (8)   (P→Q)→P    A
 8 (9)  ~(P→Q)∨P    8含意の定義
   (カ) ~((P→Q)→P)∨P 13ウエオ∨E
   (キ)  ((P→Q)→P)→P カ含意の定義
といふ「6行の、含意の定義」は、「(E.J.レモンの)10個の原始的規則」から、「導出」出来る。
cf.
(S1)証明された定理の任意の代入例に対して、証明が見出されうる。
(E.J.レモン、論理学初歩、竹尾治一郎・浅野楢英 訳、1973年、69頁)
然るに、
(12)
(ⅶ)
1   (1)  (P→Q)&~P   A
 2  (2) ~(P→Q)∨ P   A
1   (3)  (P→Q)      1&E
  4 (4) ~(P→Q)      A
1 4 (5)  (P→Q)&
        ~(P→Q)      34&I
  4 (6)~((P→Q)&~P)  15RAA
1   (7)        ~P   1&E
   8(8)         P   A
1  8(9)      ~P&P   78&I
   8(ア)~((P→Q)&~P)  19RAA
 2  (イ)~((P→Q)&~P)  2468ア
12  (ウ) ((P→Q)&~P)&
       ~((P→Q)&~P)  1イ&I
1   (エ)~(~(P→Q)∨P)  1ウRAA
(ⅷ)
1  (1)~(~(P→Q)∨P)  A
 2 (2)  ~(P→Q)     A
 2 (3)  ~(P→Q)∨P   2∨I
12 (4)~(~(P→Q)∨P)&
       (~(P→Q)∨P)  13&I
1  (5) ~~(P→Q)     24RAA
1  (6)   (P→Q)     5
  6(7)         P   A
  6(8)  ~(P→Q)∨P   6∨I
1 6(9)~(~(P→Q)∨P)&
       (~(P→Q)∨P)  17&I
1  (ア)        ~P   68RAA
1  (イ)  (P→Q)&~P   59&I
従って、
(06)(12)により、
(13)
3  (6)   (P→Q)&~P    34&I
3  (7)~(~(P→Q)∨ P)   6ド・モルガンの法則
といふ「2行の、ド・モルガンの法則」は、「(E.J.レモンの)10個の原始的規則」から、「導出」出来る。
従って、
(06)(09)(11)(13)により、
(14)
   (1)    P→P        TI(同一律:PならばPである。)
   (2)   ~P∨P        1含意の定義(または、排中律。)
3  (3)   ~P          A
3  (4)   ~P∨Q        3∨I
3  (5)    P→Q        4含意の定義
3  (6)   (P→Q)&~P    34&I
3  (7)~(~(P→Q)∨ P)   6ド・モルガンの法則
 8 (8)   (P→Q)→ P    A
 8 (9)  ~(P→Q)∨ P    8含意の定義
38 (ア)~(~(P→Q)∨ P)&
       (~(P→Q)∨ P)   79&I
3  (イ) ~((P→Q)→ P)   8アRAA
3  (ウ) ~((P→Q)→ P)∨P イ∨I
  エ(エ)      P        A
  エ(オ) ~((P→Q)→ P)∨P エ∨I
   (カ) ~((P→Q)→ P)∨P 13ウエオ∨E
   (キ)  ((P→Q)→ P)→P カ含意の定義
   (〃)  ((PならばQ)ならばPならば)Pである。 カ含意の定義
といふ「16行の証明」は、「(E.J.レモンの)10個の原始的規則」だけが、用ひられてゐる。
従って、
(06)(14)により、
(15)
①((P→Q)→P)→P
①((PならばQ)ならばPならば)Pである。
といふ「パースの法則」は、「演繹定理だけからでは導くことができない」(ウィキペディア)。
といふことは、「本当」ではなく、「ウソ」であると、思はれる。
(16)
   (2)   ~P∨P        1排中律。
3  (3)   ~P          A
といふ「2行」は、
(2)Pでないか、Pである(排中律)。
は、「必ず、真」である。が、今は、
(3)Pでない。 と、「仮定」する。
といふ、「意味」である。
(17)
3  (3)   ~P          A
3  (4)   ~P∨Q        3∨I
といふ「2行」は、
(3)Pでない。 と、「仮定」するが、その上、
(4)Qかも知れないし、Qでないかも、知れない。
といふ「意味」である。
(18)
3  (4)   ~P∨Q        3∨I
3  (5)    P→Q        4含意の定義
ので、(5)は、「含意の定義」である。
(19)
3  (6)   (P→Q)&~P    34&I
といふ「一行」は、
3  (5)    P→Q        4含意の定義
に対して、
3  (3)   ~P          A
を加へた「形」である。
(20)
3  (6)   (P→Q)&~P
を得ることが出来れば、
3  (7)~(~(P→Q)∨ P)   6ド・モルガンの法則
 8 (8)   (P→Q)→ P    A
 8 (9)  ~(P→Q)∨ P    8含意の定義

38 (ア)~(~(P→Q)∨ P)&
       (~(P→Q)∨ P)   79&I
3  (イ) ~((P→Q)→ P)   8アRAA
によって、
3  (ウ) ~((P→Q)→ P)∨P イ∨I
を得ることが、出来る。
(21)
   (2)   ~P∨P        1排中律。
  エ(エ)      P        A
といふ「2行」は、
(2)Pでないか、Pである(排中律)。
は、「必ず、真」である。が、今度は、
(エ)Pである。 と、「仮定」する。
といふ「意味」である。
(22)
  エ(エ)      P        A
  エ(オ) ~((P→Q)→ P)∨P エ∨I
といふ「2行」は、
(エ)Pである。 と、「仮定」するが、その上、
(オ)~((P→Q)→ P)であるかも知れないし、さうでないかも知れない。
といふ、「意味」である。
(23)
   (カ) ~((P→Q)→ P)∨P 13ウエオ∨E
といふ「1行」は、
(2)Pでないか、Pである(排中律)。
は、「必ず、真」である。が、
(2)Pでなくても、Pであっても、いづれにせよ、
(カ)~((P→Q)→ P)∨P
である。といふ、「意味」である。
(24)
   (カ) ~((P→Q)→ P)∨P 13ウエオ∨E
   (キ)  ((P→Q)→ P)→P カ含意の定義
といふ「2行」は、「含意の定義」により、
(カ)=(キ) である。
といふ、「意味」である。
然るに、
(25)
①((P→Q)→P)→P
といふ「論理式」は、「日本語」でいふと、
①((PならばQ)ならばPならば)Pである。
といふ「意味」である。
(26)
①((P→Q)→P)→P
①((PならばQ)ならばPならば)Pである。
といふ「式」が、「恒真式(トートロジー)」だと知ったときは、「意外」であったものの、今は「意外」であるとは、思ってゐない。
(27)
「昨日(令和02年01月24日)の記事」でも書いた通り、
①((P→Q)→P)→P
①((PならばQ)ならばPならば)Pである。
の「対偶(Contraposition)」を「計算」してみたところ、
② ~P→(~Q→~P)
②  Pでないならば(Qでなかろうと、Qであろうと、Pでない)。
であることが、分かったものの、
②  Pでないならば(Qでなかろうと、Qであろうと、Pでない)。
といふことは、「当然」である。
令和02年01月25日、毛利太。

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