― 興味深い「恒真式」を思ひついたので、前言を翻して、今日も書きます。―
(01)
(ⅱ)
1 (1) P A
(2) P→P 11CP
(3) ~P∨P 2含意の定義
4 (4) ~P A
4 (5) ~P∨Q 4∨I
4 (6) P→Q 5含意の定義
(7)~~P∨(P→Q) 6∨I
8(8) P A
8(9) ~~P 8DN
8(ア)~~P∨(P→Q) 9∨I
(イ)~~P∨(P→Q) 3478ア∨E
(ウ) ~P→(P→Q) イ含意の定義
然るに、
(02)
系Ⅰ:任意の連式は、それがトートロジー的であるときまたそのときに限って導出可能である。
(E.J.レモン、論理学初歩、竹尾治一郎・浅野楢英 訳、1973年、114頁)
従って、
(01)(02)により、
(03)
② ~P→(P→Q)
は、「恒真式(トートロジー)」である。
然るに、
(04)
① P→Q≡PならばQである。
といふ「含意」は、
① 真→偽≡真ならば偽である。
であるときに限って、「式全体」として、「偽」になる。
従って、
(04)により、
(05)
② ~P→(P→Q)≡Pでないならば、PならばQである。
といふ「式」は、
② (P→Q)
② (真→偽)
でなければ、「偽」にはなれない。
然るに、
(06)
② (P→Q)
② (真→偽)
であれば、
② ~P→(P→Q) は、
② ~真→(真→偽) である。
然るに、
(07)
② ~P
② ~真
であれば、
② ~P は、偽であり、
② ~真 は、偽である。
である。
従って、
(04)~(07)により、
(08)
① P→Q ≡PならばQである。
② ~P→(P→Q)≡Pでないならば、PならばQである。
に於いて、
① であれば「偽」になれるが、
② の場合は「偽」になれない。
従って、
(09)
② ~P→(P→Q)≡Pでないならば、PであるならばQである。
といふ「式」は、「偽」になれない。が故に、「恒真式(トートロジー)」である。
従って、
(09)により、
(10)
② ~P→(P→Q)≡Pでないならば、PであるならばQである。
に於いて、
P=太陽が西から昇る。
Q=バカボンのパパは天才である。
といふ「代入(Substitutuion)」を行ふと、
② 太陽が西から昇らないならば、太陽が西から昇るならば、バカボンのパパは天才である。
といふ「仮言命題」は、「恒に、真」である。
然るに、
(11)
(ⅲ)
1 (1)~P→(P→Q) A
2 (2)~P& P A
2 (3)~P 2&E
12 (4) P→Q 13MPP
2 (5) P 2&E
12 (6) Q 45MPP
1 (7)~P&P→ Q 26CP
(ⅳ)
1 (1)~P&P →Q 26CP
2 (2)~P A
3(3) P A
23(4)~P&P 23&I
123(5) Q 14MPP
12 (6) P→Q 35CP
1 (7)~P→(P→Q) 26CP
従って、
(11)により、
(12)
② ~P→(P→Q)≡Pでないならば、Pであるならば、Qである。
③(~P&P)→Q ≡PでなくてPであるならば、Qである。
に於いて、
②=③ である。
従って、
(10)(11)(12)により、
(13)
② 太陽が西から昇らないならば、太陽が西から昇るならば、バカボンのパパは天才である。
③ 太陽が西から昇らず、尚且つ、太陽が西から昇るならば、バカボンのパパは天才である。
といふ「日本語」に於いて、
②=③ である。
然るに、
(14)
③(~P&P)≡太陽が西から昇らず、尚且つ、太陽が西から昇る。
といふことは、「矛盾」であるため、「絶対に有り得ない」。
従って、
(13)(14)により、
(15)
② 太陽が西から昇らないならば、太陽が西から昇るならば、バカボンのパパは天才である。
③ 太陽が西から昇らず、尚且つ、太陽が西から昇るならば、バカボンのパパは天才である。
といふ「日本語」は、
③ 絶対に有り得ないことが、起こるならば、 その時は、バカボンのパパは天才である。
といふ「意味」になる。
然るに、
(16)
④ 太陽は西からは昇らない(太陽は東から昇る)。
といふことは、「常識」である。
従って、
(15)(16)により、
(17)
② 太陽が西から昇らないならば、太陽が西から昇るならば、バカボンのパパは天才である。
③ 太陽が西から昇らず、尚且つ、太陽が西から昇るならば、バカボンのパパは天才である。
だけでなく、
④ 太陽が西から昇るならば、バカボンのパパは天才である。
であったとしても、これらの「日本語」は、
④ 絶対に有り得ないことが、起こるならば、 その時は、バカボンのパパは天才である。
といふ、「意味」になる。
従って、
(18)
④ 太陽が西から昇るならば、バカボンのパパは天才である。
といふ風に、ある人が言ふのであれば、その人は、暗に、
④ バカボンのパパは天才ではない。
といふ風に、言ってゐる。
然るに、
(19)
(ⅱ)
1 (1) P A
(2) P→P 11CP
(3) ~P∨P 2含意の定義
4 (4) ~P A
4 (5) ~P∨Q 4∨I
4 (6) P→Q 5含意の定義
(7)~~P∨(P→Q) 6∨I
8(8) P A
8(9) ~~P 8DN
8(ア)~~P∨(P→Q) 9∨I
(イ)~~P∨(P→Q) 3478ア∨E
(ウ) ~P→(P→Q) イ含意の定義
に於ける、「含意の定義」の「証明」は、「次(20)」の通りである。
(20)
(ⅰ)P→Q├ ~P∨Q
1 (1) P→Q A
2 (2) ~(~P∨Q) A
3(3) ~P A
3(4) ~P∨Q 3∨I
23(5) ~(~P∨Q)&
(~P∨Q) 24&I
2 (6) ~~P 35RAA
2 (7) P 6DN
12 (8) Q 17MPP
12 (9) ~P∨Q 8∨I
12 (ア) ~(~P∨Q)&
(~P∨Q) 29&I
1 (イ)~~(~P∨Q) 2アRAA
1 (ウ) ~P∨Q イDN
(ⅱ)~P∨Q├ P→Q
1 (1) ~P∨ Q A
2 (2) P&~Q A
3 (3) ~P A
2 (4) P 2&E
23 (5) ~P& P 34&I
3 (6)~(P&~Q) 25RAA
7 (7) Q A
2 (8) ~Q A
2 7 (9) Q&~Q 78&I
7 (ア)~(P&~Q) 29RAA
1 (イ)~(P&~Q) 1367ア∨E
ウ (ウ) P A
エ(エ) ~Q A
ウエ(オ) P&~Q エオ&I
1 ウエ(カ)~(P&~Q)&
(P&~Q) イオ&I
1 ウ (キ) ~~Q 7カRAA
1 ウ (ク) Q キDN
1 (ケ) P→ Q ウクCP
従って、
(20)により、
(21)
① P→Q
② ~P∨Q
に於いて、
①=② である。
然るに、
(22)
1 代入の規則
一つの恒真式のなかの命題変項を他の命題変項、または論理式でおきかえることによって得られた式は同じく恒真式である。
(沢田允、現代論理学入門、1962年、173頁)
従って、
(21)(22)により、
(23)
(2) P→P 11CP
(3) ~P∨P 2含意の定義
(イ)~~P∨(P→Q) 3478ア∨E
(ウ) ~P→(P→Q) イ含意の定義
といふ「4行の計算」は、「代入の規則」によって、「正しい」。
(24)
1 (1) P A
(2) P→P 11CP
に関しては、昨日も書いたものの、
興味のある定理の大ていのものは、事実上CPを適用することによって導かれる。たとえば、
Most theorems of intrest are obtained in fact by application of CP. For example:
38 ├ P→P(連式29を参照)
1(1)P A
(2)P→P 1,1 CP
(E.J.レモン、竹尾治一郎・浅野楢英 訳、論理学入門、64頁と、原文)
といふ、ことです。
従って、
(19)~(24)により、
(25)
② ~P→(P→Q)≡Pでないならば、Pならば、Qである。
に対する、「代入例(substitution instance)」として、
② 太陽が西から昇らないならば、太陽が西から昇るならば、バカボンのパパは天才である。
といふ「命題」は、「恒真(恒に真)」である。
同様に、
(26)
② ~P→(P→Q)≡Pでないならば、Pならば、Qである。
に対する、「代入例(substitution instance)」として、
② If pigs are flying in formation over the English Channel then If pigs are not flying in formation over the English Channel then Napoleon is an American.
といふ「命題」も、「恒真(恒に真)」である。
令和02年01月29日、毛利太。
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