2020年1月13日月曜日

「矛盾」からは「何も、演繹できない」。

(01)
(ⅰ)
1(1)P   A
 (2)P→P 11CP
(ⅱ)
1   (1)    P    A
1   (2)    P∨Q  1∨I
 3  (3)    P    A
 3  (4)  ~~P    3DN
 3  (5)  ~~P∨Q  4∨I
  6 (6)      Q  A
  6 (7)  ~~P∨Q  6∨I
1   (8)  ~~P∨Q  23567∨E
1   (9)   ~P→Q  8含意の定義
    (ア)P→(~P→Q) 19CP
   イ(イ)P& ~P    A
   イ(ウ)P        イ&E
   イ(エ)   ~P→Q  アウMPP
   イ(オ)   ~P    イ&E
   イ(カ)      Q  エオMPP
    (キ)P&~P→ Q  イカCP
(ⅲ)
1     (1)  P∨Q       A
 2    (2)  P         A
 2    (3)~~P         2DN
 2    (4)~~P∨Q       3∨I
 2    (5) ~P→Q       4含意の定義
  6   (6)   ~Q       A
   7  (7) ~P         A
 2 7  (8)    Q       57MPP
 267  (9) ~Q&Q       68&I
 26   (ア)~~P         79RAA
 26   (イ)  P         アDN
 2    (ウ) ~Q→P       6イCP
    エ (エ)    Q       A
    エ (オ)  ~~Q       エDN
    エ (カ)~~Q∨P       オ∨I
    エ (キ) ~Q→P       カ含意の定義
1     (ク) ~Q→P       12ウエキ∨E
      (ケ)(P∨Q)→~Q→P  1クCP
     コ(コ)(P∨Q)&~Q    A
     コ(サ)(P∨Q)       コ&E
     コ(シ)      ~Q→P  ケサMPP
     コ(ス)      ~Q    コ&E
     コ(セ)         P  シスMPP
      (ソ)(P∨Q)&~Q→P  コセCP
然るに、
(02)
「・・・・・という仮定が与えられるならば、・・・・・と正しく結論することができる」という煩雑な表現の略記法があれば好都合であろう。このためわたしは、論理学の文献のなかでしばしば、しかし誤解を招きやすい仕方で、断定記号(assertion-sign)、
 ├
を導入する。これは「故に」(therefore)と読むのが便利であろう。
(E.J.レモン、竹尾治一郎・浅野楢英 訳、論理学入門、16頁)
従って、
(01)(02)により、
(03)
① ├ P→P
② ├ P&~P→Q
③ ├ (P∨Q)&~Q→P
然るに、
(04)
① ├ P→P
② ├ P&~P→Q
③ ├ (P∨Q)&~Q→P
に於いて、
① の「仮定の数」は0個であって、
② の「仮定の数」も0個であって、
③ の「仮定の数」も0個である。
然るに、
(05)
定理(theorem)とは、仮定の数ゼロ個の証明可能な連式の結論である。
(E.J.レモン、竹尾治一郎・浅野楢英 訳、論理学入門、65頁)
従って、
(04)(05)により、
(06)
① ├ P→P
② ├ P&~P→Q
③ ├ (P∨Q)&~Q→P
に於いて、
① は「定理(theorem)」であって、
② も「定理(theorem)」であって、
③ も「定理(theorem)」である。
従って、
(06)により、
(07)
P=太陽は東から昇る。
Q=バカボンのパパは天才である。
として、
① ├ 太陽が東から昇るならば、太陽は東から昇る。
② ├ 太陽が東から昇り、太陽が東から昇らないのであれば、バカボンのパパは天才である。
③ ├ 太陽が東から昇るか、バカボンのパパは天才である。として、バカボンのパパが天才でないならば、太陽は東から昇る。
に於いて、
① は「定理(theorem)」であって、
② も「定理(theorem)」であって、
③ も「定理(theorem)」である。
然るに、
(08)
(ⅱ)
1  (1)  P&~P→ Q A
1  (2)~(P&~P)∨Q 1含意の定義
 2 (3)~(P&~P)   A
 2 (4) ~P∨ P    2ド・モルガンの法則
 2 (5) ~P∨ P ∨Q 4∨I
  6(6)        Q A
  6(7)     P ∨Q 6∨I
  9(8) ~P∨ P ∨Q 7∨I
1  (9) ~P∨ P ∨Q 12568∨E
(ⅲ)
1  (1) ~P∨ P ∨Q A
1  (2)(~P∨ P)∨Q 1結合法則
 3 (3)(~P∨ P)   A
 3 (4)~(P&~P)   3ド・モルガンの法則
 3 (5)~(P&~P)∨Q 4∨I
  6(6)        Q A
  6(7)~(P&~P)∨Q 4∨I
1  (8)~(P&~P)∨Q 23567∨E
1  (9)  P&~P→ Q 8含意の定義
従って、
(08)により、
(09)
② P&~P→Q
③ ~P∨P∨Q 
に於いて、
②=③ である。
然るに、
(10)
(ⅲ)
1(1) ~P∨ P∨ Q  A
1(2)~(P&~P&~Q) 1ド・モルガンの法則
(ⅳ)
1(1)~(P&~P&~Q) A
1(2) ~P∨ P∨ Q  1ド・モルガンの法則
従って、
(10)により、
(11)
③  ~P∨ P∨ Q 
④ ~(P&~P&~Q)
に於いて、
③=④ である。
従って、
(09)(11)により、
(12)
②   P&~P→ Q
③  ~P∨ P∨ Q 
④ ~(P&~P&~Q)
に於いて、
②=③=④ である。
従って、
(12)により、
(13)
②   P&~P→ Q ≡Pであって、Pでないならば、Qである。
③  ~P∨ P∨ Q ≡Pでないか、Pであるか、  Qである。
④ ~(P&~P&~Q)≡Pであって、Pでなくて、  Qでない。といふことはない。
に於いて、
②=③=④ である。
然るに、
(14)
④ ~(A&B&C)≡Aであって、Bであって、Cである。といふことはない。
といふことは、
④ A、B、C、の、3つとも「本当(真)」である。といふことはない。
といふことである。
然るに、
(15)
④ A、B、C、の、3つとも、「本当(真)」である。といふことはない。
といふことは、
④ A、B、C、の内の、2つが「本当(真)」である。ならば、3番目は、「ウソ(偽)」である。
といふ、ことである。
従って、
(13)(14)(15)により、
(16)
②   P&~P→ Q ≡Pであって、Pでないならば、Qである。
③  ~P∨ P∨ Q ≡Pでないか、Pであるか、  Qである。
④ ~(P&~P&~Q)≡Pであって、Pでなくて、  Qでない。といふことはない。
に於いて、
(1st.)Pである。が「本当(真)」であって、
(2nd.)Pでない。が「本当(真)」であるならば、
(3rd.)Qでない。は「ウソ(偽)」である。
然るに、
(17)
(3rd.)Qでない。が「ウソ(偽)」である。
といふことは、
(3rd.)Qである。が「本当(真)」である。
といふことである。
従って、
(16)(17)により、
(18)
②   P&~P→ Q ≡Pであって、Pでないならば、Qである。
③  ~P∨ P∨ Q ≡Pでないか、Pであるか、  Qである。
④ ~(P&~P&~Q)≡Pであって、Pでなくて、  Qでない。といふことはない。
に於いて、
(1st.)Pである。が「本当(真)」であって、
(2nd.)Pでない。も「本当(真)」であるならば、
(3rd.)Qである。も「本当(真)」である。
然るに、
(19)
(1st.)Pである。が「本当()」であって、
(2nd.)Pでない。も「本当()」である。
といふこと(矛盾)は、「有り得ない」。
従って、
(13)(18)(19)により、
(20)
②   P&~P→ Q ≡Pであって、Pでないならば、Qである。
③  ~P∨ P∨ Q ≡Pでないか、Pであるか、  Qである。
④ ~(P&~P&~Q)≡Pであって、Pでなくて、  Qでない。といふことはない。
に於いて、
(1st.)Pである。が「本当(真)」であって、
(2nd.)Pでない。が「本当(真)」である。
といふこと(矛盾)は、「有り得ない」が故に、
(3rd.)Qである。が「本当(真)」である。
といふことは、
② からは「演繹」出来ないし、
③ からは「演繹」出来ないし、
④ からは「演繹」出来ない
従って、
(07)(20)により、
(21)
② ├ 太陽が東から昇り、太陽が東から昇らないのであれば、バカボンのパパは天才である。
といふ「定理(theorem)」からは、
② バカボンのパパは天才である。
といふ「命題」は、「絶対に、演繹」出来ない
従って、
(21)により、
(22)
② ├ 太陽が東から昇り、太陽が東から昇らないのであれば、バカボンのパパは天才である。
といふ「定理(theorem)」は、「真(本当)」であるとしても、
② バカボンのパパが天才であるか、天才でないのかは、「分からない」。
然るに、
(07)により、
(23)
③ ├ 太陽が東から昇る、バカボンのパパは天才である。として、バカボンのパパが天才でないならば、太陽は東から昇る。
といふ「定理(選言三段論法)」からは、
③ 太陽は東から昇る。
といふ「命題」を、「演繹」出来る
従って、
(01)~(23)により、
(24)
② P&~P→Q≡Pであって、Pでないならば、Qである。
といふ「定理(theorem)」、すなはち、
②「矛盾」を「前件」とする「仮言命題」は、
②    その「後件」を、「演繹」出来ない
然るに、
(25)
(数学的な意味での)矛盾の興味深い性質として、矛盾を含む体系においてはどんな命題導くこともできる、というものがある。背理法は、
命題¬φを仮定して矛盾が導けたら命題φを推論できる
と定式化できる。考えている体系において何らかの矛盾が成立していたとすると、形式的な仮定「¬B」をおいても(これは全く使わずに)矛盾を導けるということになる。従ってBの二重否定¬¬Bが推論できることになり、二重否定は無視できる(排中律)ことから結局Bが推論できたことになる。ただし、古典論理ではない直観論理などでは排中律や背理法は成立しない(ウィキペディア)。
然るに、
(26)
(数学的な意味での)矛盾の興味深い性質として、矛盾を含む体系においてはどんな命題導くこともできる
といふやうな「大学の、数学の先生が考へてゐる、難しいこと」は、文系出身の私には、よく分からない。
然るに、
(27)
1(1)  P&~P              A
1(2)    ~P              1&E
1(3) ~P∨バカボンのパパは天才である。  2∨I
1(4)  P→バカボンのパパは天才である。  3含意の定義
1(5)  P                 1&E
1(6)     バカボンのパパは天才である。 45MTT
 (7)P&~P→バカボンのパパは天才である。 16CP
 (〃) 矛 盾 →バカボンのパパは天才である。 16CP
といふ「計算」であれば、私にも、出来ないわけではない。
然るに、
(28)
37 1(1)  P&~P  A
   2(2)~(P&~P) 11RAA
(E.J.レモン、竹尾治一郎・浅野楢英 訳、論理学入門、63頁)
従って、
(28)により、
(29)
E.J.レモン先生は、「矛盾(P&~P)」は、「仮定」しても良いが、「否定すべきである」。
といふ風に、教へてゐる。
従って、
(25)~(29)により、
(30)
「矛盾を含まない体系」であっても、「矛盾を含む体系」であっても、いづれにせよ、「矛盾」を「容認しなければ
どんな命題を導くこともできる。」といふことには、ならないはずである。
(31)
1      (1)    P      A
1      (2)    P∨ Q   1∨I
 3     (3)   ~P&~Q   A
  4    (4)    P      A
 3     (5)   ~P      3&E
 34    (6)    P&~P   45&I
  4    (7) ~(~P&~Q)  36RAA
   8   (8)       Q   A
 3     (9)      ~Q   3&E
 3 8   (ア)    Q&~Q   89&I
   8   (イ) ~(~P&~Q)  3アRAA
1      (ウ) ~(~P&~Q)  2478イ∨E
    エ  (エ)   ~P      A
     オ (オ)      ~Q   A
    エオ (カ)   ~P&~Q   エオ&I
1   エオ (キ) ~(~P&~Q)&
            (~P&~Q)  4カ&I
1   エ  (ク)     ~~Q   オキRAA
1   エ  (ケ)       Q   クDN
1      (コ)   ~P→ Q   エケCP
       (サ)P→(~P→ Q)  1コCP
      シ(ス)P& ~P      A
      シ(セ)P          シ&E
      シ(ソ)   ~P→ Q   サセMPP
      シ(タ)   ~P      シ&E
      シ(チ)       Q   ソタMPP
       (ツ)P& ~P→ Q   ツチCP
であるため、「E.J.レモンの、原始的規則(Premitive rules)」といふ「体系」から、
② P&~P→Q≡Pであって、Pでないならば、Qである。
といふ「定理」が「演繹」出来るものの、
② P&~P
は「矛盾」であって、「矛盾」は、「必ず、(ウソ)である」。
然るに、
(32)
 2 推論の規則
論理式A と、A→B がともに真ならば、論理式B も真である。
(沢田允、現代論理学入門、1962年、173・4頁)
従って、
(31)(32)により、
(33)
② P&~P→Q≡Pであって、Pでないならば、Qである。
であれば、
② A  ≡P&~P
② A→B≡P&~P→Q
であって、
② A(矛盾)は、「(本当)」ではなく、「(ウソ)」である。
従って、
(32)(33)により、
(34)
② P&~P→Q≡Pであって、Pでないならば、Qである。
といふ「定理」は、
倫理式A と、A→B がともに真ならば、論理式B も真である。
といふ「(case)」には、「絶対に、ならない」。
令和02年01月13日、毛利太。

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