2020年1月16日木曜日

「選言三段論法(消去法)」(Ⅱ)。

(01)
(ⅰ)
1       (1)   P∨ Q       A
 2      (2)  ~P&~Q       A
  3     (3)   P          A
 2      (4)  ~P          2&E
 23     (5)   P&~P       34&I
  3     (6)~(~P&~Q)      25RAA
   7    (7)      Q       A
 2      (8)     ~Q       2&E
 2 7    (9)   Q&~Q       78&I
   7    (ア)~(~P&~Q)      29RAA
1       (イ)~(~P&~Q)      1367ア∨E
    ウ   (ウ)  ~P          A
     エ  (エ)     ~Q       A
    ウエ  (オ)  ~P&~Q       ウエ&I
1   ウエ  (カ)~(~P&~Q)&
            (~P&~Q)      イオ&I
1   ウ   (キ)    ~~Q       エカRAA
1   ウ   (ク)      Q       キDN
1       (ケ)  ~P→ Q       ウクCP
      コ (コ)  ~Q          A
       サ(サ)     ~P       A
      コサ(シ)  ~P&~Q       サコ&I
1     コサ(ス)~(~P&~Q)&
            (~P&~Q)      イサ&I
1     コ (セ)    ~~P       サスRAA
1     コ (ソ)      P       セDN
1       (タ)  ~Q→ P       コソCP
1       (チ)(~P→Q)&(~Q→P) ケタ&I
(ⅱ)
1      (1) (~P→Q)&(~Q→P) A
1      (2)  ~P→Q         1&E
 3     (3) ~(P∨Q)        A
  4    (4)   P           A
  4    (5)   P∨Q         4∨I
 34    (6) ~(P∨Q)&(P∨Q)  35&I
 3     (7)  ~P           46RAA
13     (8)     Q         27MPP
13     (9)   P∨Q         8∨I
13     (ア) ~(P∨Q)&(P∨Q)  39&I
1      (イ)~~(P∨Q)        3アRAA
1      (ウ)   P∨Q         イDN
1      (エ)  ~Q→P         1&E
   オ   (オ) ~(Q∨P)        A
    カ  (カ)   Q           A
    カ  (キ)   Q∨P         カ∨I
   オカ  (ク) ~(Q∨P)&(Q∨P)  オキ&I
   オ   (ケ)  ~Q           カクRAA
1  オ   (コ)     P         エケMPP
1  オ   (サ)   Q∨P         コ∨I
1  オ   (シ) ~(Q∨P)&(Q∨P)  オサ&I
1      (ス)~~(Q∨P)        オスRAA
1      (セ)   Q∨P         スDN
     ソ (ソ)   Q           A
     ソ (タ)   P∨Q         ソ∨I
      チ(チ)     P         A
      チ(ツ)   P∨Q         チ∨I
1      (テ)   P∨Q         セソタチツ∨E
1      (ト)(P∨Q)&(P∨Q)    ウテ&I
1      (ナ) P∨Q           ト&E
従って、
(01)により、
(02)
①    P∨Q
②(~P→Q)&(~Q→P)
に於いて、
① ならば、② であり、
② ならば、① である。
従って、
(02)により、
(03)
①    P∨Q
②(~P→Q)&(~Q→P)
に於いて、
①=② である。
然るに、
(04)
①    P∨Q
②(~P→Q)&(~Q→P)
に於いて、
P=~P
といふ「代入(Substitution)」を行ふと、
③  ~P∨Q
④ (P→Q)&(~Q→~P)
然るに、
(05)
④ (P→Q)&(~Q→~P)
は、「対偶(Contraposition)」であるため、
④ (P→Q)&(~Q→~P)
⑤  P→Q
に於いて、
④=⑤ である。
従って、
(04)(05)により、
(06)
③  ~P∨Q
④  P→Q
に於いて、
③=④ である。
cf.
「含意の定義」といふ。
然るに、
(07)
①    P∨Q
②(~P→Q)&(~Q→P)
といふ「論理式」を、「日本語」で言ふと、
① Pか、Qである。
② Pでないならば、Qであり、Qでないならば、Pである。
といふことになる。
従って、
(03)(07)により、
(08)
①    P∨Q
②(~P→Q)&(~Q→P)
といふ「論理式」は、
① Pか、Qである。
② Pでないならば、Qであり、Qでないならば、Pである。
といふ「意味」であり、
①=② である。
従って、
(08)により、
(09)
命題P=自然数Nは偶数である。
命題Q=自然数Nは奇数である。
とすると、
① Nは偶数であるか、奇数である。
② Nが偶数でないならば、Nは奇数であり、Nが奇数でないならば、Nは偶数である。
に於いて、
①=② である。
従って、
(08)(09)により、
(10)
①    P∨Q
②(~P→Q)&(~Q→P)
といふ「論理式」は、「当り前」のことを、言ってゐるに、過ぎない。
従って、
(01)(10)により、
(11)
(01)で示した「命題計算(Propositional calculus)」は、「当り前」のことを「演繹」するために、「56行もの計算」をしてゐる。
然るに、
(12)
仮に、
1(1)   P∨Q          A
1(2)(~P→Q)&(~Q→P) 選言の規則
のやうに、『選言の規則』といふ「規則(Rule)」を認めるとする。
然るに、
(13)
『仮定の規則(A)、肯定肯定式(MPP)、否定否定式(MTT)、二重否定(DN)、条件的証明(CP)、連言導入(&I)、連言除去(&E)、選言導入(∨I)、選言除去(∨E)、背理法(RAA)』は、ゲンツェン(G.Gentzen)に由来する、「自然演繹の規則(Rules)」である。
従って、
(01)(11)(12)(13)により、
(14)
仮に、ゲンツェン(G.Gentzen)が、「肯定肯定式」を「規則」とせずに、『選言の規則』を「規則」としてゐたならば、
(01)で示した「56行の計算」は、「2行」で、「終はる」ことになる。
(15)
「命題計算(Propositional calculus)」は、「一種の、パズル」なので、「2行で終る計算」は、つまらなく、「56行もかかる計算」の方が、楽しい。
(16)
①      P∨  Q
②  (~P→ Q)&(~Q→P)
③ ~(~P&~Q)
に於いて、
①=③ は、「ド・モルガンの法則」である。
然るに、
(17)
1 (1)   P∨ Q A
 2(2)  ~P&~Q A
といふ風に、「仮定(Assumpt)」すれば、それだけで、「仮定(1)」と「仮定(2)」は「矛盾」する。
従って、
(18)
①      P∨  Q
③ ~(~P&~Q)
に於いて、
①=③ であることを、「証明」するためには、
1 (1)   P∨ Q A
 2(2)  ~P&~Q A
に対して、「背理法(RAA)」を用ひるべく、「選言除去(∨E)」を用ゐることなる。
従って、
(17)(18)により、
(19)
(ⅰ)
1   (1)   P∨ Q  A
 2  (2)  ~P&~Q  A
  3 (3)   P     A
 2  (4)  ~P     2&E
 23 (5)   P&~P  34&I
  3 (6)~(~P&~Q) 25RAA
   7(7)      Q  A
 2  (8)     ~Q  2&E
 2 7(9)   Q&~Q  78&I
   7(ア)~(~P&~Q) 29RAA
1   (イ)~(~P&~Q) 1367ア∨E
(ⅲ)
1   (1)~(~P&~Q)  A
 2  (2) ~(P∨ Q)  A
  3 (3)   P      A
  3 (4)   P∨ Q   3∨I
 23 (5) ~(P∨ Q)&
         (P∨ Q)  24&I
 2  (6)  ~P      35RAA
   7(7)      Q   A
   7(8)   P∨ Q   7∨I
 2 7(9) ~(P∨ Q)&
         (P∨ Q)  28&I
 2  (ア)     ~Q   79RAA
 2  (イ)  ~P&~Q   6ア&I
12  (ウ)~(~P&~Q)&
        (~P&~Q)  1イ&I
1   (エ)~~(P∨ Q)  2ウRAA
1   (カ)   P∨ Q   エDN
従って、
(19)により、
(20)
①       P∨  Q
③ ~(~P&~Q)
に於いて、
① ならば、③ であり、
③ ならば、① である。
従って、
(20)により、
(21)
①       P∨  Q
③ ~(~P&~Q)
に於いて、
①=③ である。
従って、
(03)(21)により、
(22)
①       P∨  Q
②  (~P→  Q)&(~Q→P)
③ ~(~P&~Q)
に於いて、
①=②=③ である。
然るに、
(23)
①       P∨  Q
②  (~P→  Q)&(~Q→P)
③ ~(~P&~Q)
といふ「論理式」を、「日本語」で言ふと、
① Pか、Qである。
② Pでないならば、Qであり、Qでないならば、Pである。
③ Pではないし、 Qでもない。といふことはない。
といふことになる。
従って、
(23)により、
(24)
命題P=Aさんは男性である。
命題Q=Aさんは女性である。
とすると、
① Aさんは男性であるか、Aさんは女性である。
② Aさんが男性でないならば、Aさんは女性であり、Aさんが女性でないならば、Aさんは男性である。
③ Aさんが男性ではなく、尚且つ、Aさんが女性でない。といふことはない。
に於いて、
①=②=③ である。
然るに、
(25)
① Aさんは男性であるか、Aさんは女性である。
② Aさんが男性でないならば、Aさんは女性であり、Aさんが女性でないならば、Aさんは男性である。
③ Aさんが男性ではなく、尚且つ、Aさんが女性でない。といふことはない。
に於いて、
①=②=③ である。
といふことを、理解できない、「日本語の話者」は、ゐないはずである。
従って、
(23)(24)(25)により、
(26)
①       P∨  Q
②  (~P→  Q)&(~Q→P)
③ ~(~P&~Q)
に於いて、
①=②=③ である。
といふことは、「日本語」としても、「正しい」。
然るに、
(27)
① P∨Q≡Aさんは男性であるか、Aさんは女性である。
① P∨Q≡少なくとも、Aさんか、Bさんの、どちらかは、日本人である。
に於いて、「前者」を「排他的選言」といひ、「後者」を「両立的選言」といふ。
然るに、
(28)
①「少なくとも、Aさんか、Bさんは、日本人である。」としても、
②「Aさんが、日本人でない。」のであれば、「Bさんは日本人であり」、
②「Bさんが、日本人でない。」のであれば、「Aさんは日本人であり」、
③「Aさんが日本人ではく、Bさんも日本人ではない。」といふことはない。
従って、
(25)~(28)により、
(29)
①       P∨  Q
②  (~P→  Q)&(~Q→P)
③ ~(~P&~Q)
に於いて、
① が、「排他的選言」であっても、
① が、「両立的選言」であっても、
①=②=③ である。
といふことは、「日本語」としても、「正しい」。
然るに、
(30)
仮に、「論理学」に於いて、「P∨Q」が、「両立的選言」ではなく、「排他的選言」であるならば、そのときに限って、
1 (1)P∨Q A
 2(2)P   A
12(3) ~Q 12排他的選言
といふ「計算」は、「正しい」。
然るに、
(31)
1 (1)P∨Q A
 2(2)P   A
12(3) ~Q 12排他的選言
といふ「計算」は、「マチガイ」であって、「正しくない」。
従って、
(29)(30)(31)により、
(32)
「論理学」に於ける「P∨Q」は、「両立的選言」であって、「排他的選言」ではない
然るに、
(33)
「論理学」に於ける「P∨Q」は、「排他的選言」ではないにしても、
1    (1) (P∨Q)&~(P&Q) A
1    (2)       ~(P&Q) 1&E
1    (3)       ~P∨~Q  2ド・モルガンの法則
1    (4)        P→~Q  3含意の定義
 5   (5)             A
15   (6)          ~Q  45MPP
1    (7)  P∨Q         1&E
  7  (8)  P           A
  7  (9)~~P           8DN
  7  (ア)~~P∨Q         9∨I
   イ (イ)    Q         A
   イ (ウ)~~P∨Q         イ∨I
1    (エ)~~P∨Q         78アイウEE
1    (オ) ~P→Q         エ含意の定義
    カ(カ) ~P           A
1   カ(キ)             オカMPP
従って、
(33)により、
(34)
(P∨Q)&~(P&Q)であって、
 ならば、~Qであって、
~Pならば、 である。
従って、
(31)~(34)により、
(35)
論理学」に於いて、
「P∨Q」が、「排他的選言」ではなく、「両立的選言」であるにせよ、
「(P∨Q)&~(P&Q)」と書けば、
「(P∨Q)&~(P&Q)」は、「両立的選言」ではなく、「排他的選言」である。
令和02年01月16日、毛利太。

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