2020年1月19日日曜日

「素朴・対偶論」(Ⅱ)。

(01)
交換法則」により、
①(であって、Qでない。)
②(Qでなくて、である。)
に於いて、
①=② である。
従って、
(01)により、
(02)
①(Pであって、でない。)といふことはない。
②(でなくて、Pである。)といふことはない。
に於いて、
①=② である。
然るに、
(03)
「日本語話者の直観」として、
①(Pであって、Qでない。)といふことはない
②(Qでなくて、Pである。)といふことはない
といふことは、
① Pであるならば、Qである
② Qでないならば、Pでない
といふことに、他ならない。
従って、
(02)(03)により、
(04)
①(Pであって、Qでない。)といふことはない。
②(Qでなくて、Pである。)といふことはない。
に於いて、
①=② であるが故に、
① Pであるならば、Qである。
② Qでないならば、Pでない。
に於いて、
①=② であるものの、この「等式」を、「素朴・対偶論」とする。
然るに、
(05)
①(Pであって、Qでない。)といふことはない。
②(Qでなくて、Pである。)といふことはない。
といふ「日本語」は、「命題論理の記号」で表すと、
① ~(P&~Q)
② ~(~Q&P)
といふ風に、書くことになる。
然るに、
(06)
(ⅰ)
1  (1)~(P&~Q)  A
 2 (2)  P      A
  3(3)    ~Q   A
 23(4)  P&~Q   23&I
123(5)~(P&~Q)&
       (P&~Q)  14&I
12 (6)   ~~Q   35RAA
12 (7)     Q   6DN
1  (8)  P→ Q   27CP
(ⅱ)
1  (1)  P→ Q   A
 2 (2)  P&~Q   A
 2 (3)  P      2&E
12 (4)     Q   13MPP
 2 (5)    ~Q   2&E
12 (6)  Q&~Q   45&I
1  (7)~(P&~Q)  26RAA
(ⅲ)
1  (1)~(~Q&P)  A
1  (2)~~Q∨~P   1ド・モルガンの法則
1  (3) ~Q→~P   2含意の定義
(ⅳ)
1  (1) ~Q→~P   A
 2 (2) ~Q& P   A
 2 (3) ~Q      2&E
12 (4)    ~P   13CP
 2 (5)     P   2&E
12 (6)  ~P&P   45&I
1  (7)~(~Q&P)  26RAA
従って、
(06)により、
(07)
① ~(P&~Q)
②     P→ Q
③ ~(~Q&P)
④   ~Q→~P
に於いて、
①=② であって、
③=④ である。
然るに、
(08)
(ⅰ)
1  (1)~(P&~Q) A
1  (2) ~P∨  Q    1ド・モルガンの法則
 3 (3) ~P     A
 3 (4)  Q∨~P  3∨I
  5(5)     Q  A
  5(6)  Q∨~P  5∨I
1  (7)  Q∨~P  23456∨E
1  (8)~(~Q&P) 7ド・モルガンの法則
(ⅲ)
1  (1)~(~Q&P) A
1  (2)  Q∨~P  1ド・モルガンの法則
 3 (3)  Q     A
 3 (4) ~P∨ Q  3∨I
  5(5)    ~P  A
  5(6) ~P∨ Q  5∨I
1  (7) ~P∨ Q  23456∨E
1  (8)~(P&~Q) 7ド・モルガンの法則
従って、
(08)により、
(09)
① ~(P&~Q)
③ ~(~Q&P)
に於いて、
①=③ である。
従って、
(07)(09)により、
(10)
① ~(P&~Q)
②     P→ Q
③ ~(~Q&P)
④   ~Q→~P
に於いて、
①=② であって、
③=④ であって、
①=③ である。
従って、
(10)により、
(11)
「番号」を付け直すと、
① ~(P&~Q)
② ~(~Q&P)
に於いて、
①=② であるが故に、
①     P→ Q
②  ~Q→~P
に於いて、
①=② である。
従って、
(05)(11)により、
(12)
① ~(P&~Q)≡(Pであって、Qでない。)といふことはない。
② ~(~Q&P)≡(Qでなくて、Pである。)といふことはない。
に於いて、
①=② であるが故に、
①     P→ Q  ≡Pであるならば、Qである。
②  ~Q→~P ≡Qでないならば、Pでない。
といふ「素朴・対偶論」は、「命題論理(Propositional logic)」としても、「正しい」。
然るに、
(13)
(ⅰ)
1(1)~∃x(象x&~動物x) A
1(2)∀x~(象x&~動物x) 1量化子の関係
1(3)  ~(象a&~動物a) 2UE
1(4)   ~象a∨ 動物a  3ド・モルガンの法則
1(5)    象a→ 動物a  4含意の定義
1(6) ∀x(象x→ 動物x) 5UI
(ⅱ)
1(1) ∀x(象a→ 動物a) A
1(2)    象a→ 動物a  1UE
1(3)   ~象a∨ 動物a  2含意の定義
1(4)  ~(象a&~動物a) 3ド・モルガンの法則
1(5)∀x~(象x&~動物x) 4UI
1(6)~∃x(象x&~動物x) 5量化子の関係
(ⅲ)
1(1)~∃x(~動物x& 象x) A
1(2)∀x~(~動物x& 象x) 量化子の関係
1(3)  ~(~動物a& 象a) 2UE
1(4)   ~~動物a∨~象a  3ド・モルガンの法則
1(5)    ~動物a→~象a  4含意の定義
1(6) ∀x(~動物x→~象x) 5UI
(ⅳ)
1(1) ∀x(~動物x→~象x) A
1(2)    ~動物a→~象a  1UE
1(3)   ~~動物a∨~象a  2含意の定義
1(4)  ~(~動物a& 象a) 3ド・モルガンの法則
1(5)∀x~(~動物x& 象x) 4UI
従って、
(13)により、
(14)
① ~∃x( 象x&~動物x)
②  ∀x( 象x→ 動物x)
③ ~∃x(~動物x& 象x)
④  ∀x(~動物x→~象x)
に於いて、
①=② であって、
③=④ である。
然るに、
(15)
(ⅰ) 
1  (1) ~∃x(象x&~動物x) A
1  (2) ∀x~(象x&~動物x) 1量化子の関係
1  (3)   ~(象a&~動物a) 2UE
1  (4)    ~象a∨ 動物a  3ド・モルガンの法則
 5 (5)    ~象a       A
 5 (6)     動物a∨~象a  5∨I
  7(7)         動物a  A
  7(8)     動物a∨~象a  7∨I
1  (9)     動物a∨~象a  45678∨E
1  (ア)  ~(~動物a& 象a) 9ド・モルガンの法則
1  (イ)∀x~(~動物x& 象x) アUI
1  (ウ)~∃x(~動物x& 象x) イ量化子の関係
(ⅲ)
1  (1)~∃x(~動物x& 象x) 1
1  (2)∀x~(~動物x& 象x) 1量化子の関係
1  (3)  ~(~動物a& 象a) 2UE
1  (4)     動物a∨~象a  3ド・モルガンの法則
 5 (5)     動物a      A
 5 (6)     ~象a∨動物a  5∨I
  7(7)         ~象a  A
  7(8)     ~象a∨動物a  7∨I
1  (9)     ~象a∨動物a  45678∨E
1  (ア)   ~(象a&~動物a) 9ド・モルガンの法則
1  (イ) ∀x~(象x&~動物x) アUI
1  (ウ) ~∃x(象x&~動物x) イUI
従って、
(15)により、
(16)
① ~∃x(象x&~動物x)
③ ~∃x(~動物x&象x)
に於いて、
①=③ である。
従って、
(14)(16)により、
(17)
① ~∃x( 象x&~動物x)
②  ∀x( 象x→ 動物x)
③ ~∃x(~動物x& 象x)
④  ∀x(~動物x→~象x)
に於いて、
①=② であって、
③=④ であって、
①=③ である。
従って、
(18)
「番号」を付け直すと、
① ~∃x( 象x&~動物x)
② ~∃x(~動物x& 象x)
に於いて、
①=② であるが故に、
①  ∀x( 象x→ 動物x)
②  ∀x(~動物x→~象x)
に於いて、
①=② である。
従って、
(18)により、
(19)
① ~∃x( 象x&~動物x)≡(象であって、動物でない。)といふことはない。
② ~∃x(~動物x& 象x)≡(動物でなくて、象である。)といふことはない。
に於いて、
①=② であるが故に、
①  ∀x( 象x→ 動物x)≡象であるならば、動物である。
②  ∀x(~動物x→~象x)≡動物でないならば、象である。
といふ「素朴・対偶論」は、「述語論理(Predicate logic)」としても、「正しい」。
(20)
表紙に、『風が吹けば桶屋が儲かる』と墨で書かれた「古文書」に、
「元和元年1月19日、風吹く。」と墨書かれていゐて、
「元和元年1月20日、儲かる。」と墨で書かれてゐたとすれば、「日付を示す、文字の筆跡の、集合」を考へることが、出来る。
従って、
(20)により、
(21)
「風が吹く日」  ではなく  「風が吹く日の、日付の、筆跡の集合」と、
「桶屋が儲かる日」ではなく「桶屋が儲かる日の、日付の、筆跡の集合」を考へれば、
『風が吹けば桶屋が儲かる』といふ「命題」は、
① ~∃x( 象x&~動物x)≡(象であって、動物でない。)といふことはない。
② ~∃x(~動物x& 象x)≡(動物でなくて、象である。)といふことはない。
①  ∀x( 象x→ 動物x)≡ 象であるならば、動物である。
②  ∀x(~動物x→~象x)≡ 動物でないならば、象である。
といふ「命題」と、「同じ種類命題」であると、見做すことが出来る
然るに、
(22)

① ~∃x( 象x&~動物x)≡(象であって、動物でない。)といふことはない。
② ~∃x(~動物x& 象x)≡(動物でなくて、象である。)といふことはない。
①  ∀x( 象x→ 動物x)≡ 象であるならば、動物である。
②  ∀x(~動物x→~象x)≡ 動物でないならば、象である。
といふ「命題」は、
① 象が存在するならば、象は動物である。
といふ「意味」である。
然るに、
(23)
① 象が存在するならば、象は動物である。
といふことは、
①「象の集合」が、「動物の集合」に、「含まれる」といふことであり、
①「象の集合」が、「動物の集合」に、「含まれる」といふことは、
①「象の集合」が、「動物の集合」の、「部分集合」である。
といふことである。
然るに、
(24)
① 地球上に、ただ一頭の象だけが、存在してゐて、その一頭が、「消滅」すれば、その時点で、「象の集合」は、「空集合φ」である。
然るに、
(25)
①「象の集合」が、「空集合φ」であるならば、
① 象は存在しないのだから、
① 象が存在するならば、象は動物である。
といふ「仮言命題」自体が、「意味をなさない
従って、
(22)~(25)により、
(26)
① ~∃x( 象x&~動物x)≡(象であって、動物でない。)といふことはない。
② ~∃x(~動物x& 象x)≡(動物でなくて、象である。)といふことはない。
①  ∀x( 象x→ 動物x)≡ 象であるならば、動物である。
②  ∀x(~動物x→~象x)≡ 動物でないならば、象である。
といふ「命題」が、
① 象が存在するならば、象は動物である。
といふ「意味」である以上、
① 象が存在しない
といふことが、「確定」してゐるのであれば、その場合は、「これまでの説明」は、「意味」をなさない。
従って、
(20)~(26)により、
(27)
①「象の集合」が    「空集合φ」で、
②「風の吹く日の集合」が「空集合φ」である場合には、「素朴・対偶論」は、成立しない
従って、
(28)
①「空集合φそのものに対して、「素朴・対偶論」を、用ひることは、出来ない
従って、
(28)により、
(29)
『素朴・対偶論について(2020-01-18 18:57:19 | 論理学)。』でも書いた通り、
  (10)
  ① 要素xがAの要素でないならば、要素xはφの要素でない。
  ② 要素xはφの要素であるならば、要素xはAの要素である。
  といふことは、「素朴・対偶論」としても、「正しい」のだらうか。
  と、「自問中」です。
  (11)
  自問した「結果」だけを書くものの、
  ① 風が吹けば、桶屋が儲かる。
  ② 桶屋が儲からなければ、風は吹かない。
  に対して、
  ① 要素xがAの要素でないならば、要素xはφの要素でない。
  ② 要素xはφの要素であるならば、要素xはAの要素である。
  は、「素朴・対偶論」ではありません。
  といふ、ことになる。
然るに、
(30)
任意の集合Aと、空集合φに対して、
∀x{x∈φ→x∈A}≡すべてのxについて、xがφにの要素であるならば、xはAの要素である。
といふ「命題」が、「真→真」としてではなく、「」として、「」である。
といふことは、私自身も、もちろん、知ってゐる。
然るに、
(31)
だからと言って、
  ① 要素xがAの要素でないならば、要素xはφの要素でない。
  ② 要素xはφの要素であるならば、要素xはAの要素である。
  が、「素朴・対偶論」である。
といふことには、ならない
令和02年01月19日、毛利太。

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