2020年1月30日木曜日

「命題論理」の「仮定」と「矛盾」について。

(01)
(ⅰ)
1   (1)     P    A
    (2)     P→P  11CP
    (3)    ~P∨P  2含意の定義
 4  (4)    ~P    A
 4  (5)    ~P∨Q  4∨I
 4  (6)     P→Q  5含意の定義
 4  (7)~~P∨(P→Q) 6∨I
  8 (8)       P  A
  8 (9)     ~~P  8DN
  8 (ア)~~P∨(P→Q) 9∨I
    (イ)~~P∨(P→Q) 3478ア∨E
    (ウ) ~P→(P→Q) イ含意の定義
   エ(エ) ~P& P    A
   エ(オ) ~P       エ&E
   エ(カ)     P→Q  ウオMPP
   エ(キ)     P    エ&E
   エ(ク)       Q  カキMPP
    (ケ)(~P&P)→Q  エクCP
といふ「計算」に於いて、「左側」に書かれた「数字と片仮名」は、「仮定」が行はれた際の、「その行」を表してゐる。
従って、
(01)により、
(02)
(ⅰ)に於ける、「仮定」そのものを、「左側」に書くならば、
(ⅰ)は、
P   (1)     P    A
    (2)     P→P  11CP
    (3)    ~P∨P  2含意の定義
~P  (4)    ~P    A
~P  (5)    ~P∨Q  4∨I
~P  (6)     P→Q  5含意の定義
~P  (7)~~P∨(P→Q) 6∨I
  P (8)       P  A
  P (9)     ~~P  8DN
  P (ア)~~P∨(P→Q) 9∨I
    (イ)~~P∨(P→Q) 3478ア∨E
    (ウ) ~P→(P→Q) イ含意の定義
~P&P(エ) ~P& P    A
~P&P(オ) ~P       エ&E
~P&P(カ)     P→Q  ウオMPP
~P&P(キ)     P    エ&E
~P&P(ク)       Q  カキMPP
    (ケ)(~P&P)→Q  エクCP
といふ風に、書くことになる。
従って、
(02)により、
(03)
    (2)     P→P  11CP
    (3)    ~P∨P  2含意の定義
    (イ)~~P∨(P→Q) 3478ア∨E
    (ウ) ~P→(P→Q) イ含意の定義
    (ケ)(~P&P)→Q  エクCP
とふいふ「5行」に関しては、「仮定」の数が「0個」である。
然るに、
(04)
「仮定」の数が「0個」である。
といふことは、「特定の仮定」に「依存しなくとも」である。
といふことである。
然るに、
(05)
特定の仮定」に「依存しなくとも」である。
といふことは、「恒に真である」といふことである。
従って、
(03)(04)(05)により、
(06)
    (2) P→P(同一律
    (3)~P∨P(排中律
    (イ)~~P∨(P→Q)
    (ウ) ~P→(P→Q)
    (ケ)(~P&P)→Q
といふこれらの「5つ式」は、5つとも、「恒真式(トートロジー)」である。
然るに、
(07)
(ⅱ)
1  (1) Q→ P A
 2 (2)   ~P A
  3(3) Q    A
1 3(4)    P 13MPP
123(5) ~P&P 24&I
12 (6)~Q    35RAA
1  (7)~P→~Q 26CP
(ⅲ)
1  (1) ~P→~Q A
 2 (2)     Q A
  3(3) ~P    A
1 3(4)    ~Q 13MPP
123(5)  Q&~Q 24&I
1 3(6)~~P    2RAA
1 3(7)  P    6DN
1  (8)  Q→ P 27CP
従って、
(07)により
(08)
②  Q→ P
③ ~P→~Q
に於いて、すなはち、「対偶(Contraposition)」に於いて、
②=③ である。
従って、
(08)により、
(09)
 P≡太陽は西から、昇る。
~P≡太陽は西からは昇らない。
 Q≡バカボンのパパは天才である。
~Q≡バカボンのパパは天才ではない。
であるとして、
①  Q→ P≡バカボンのパパが天才であるならば、太陽が西から昇る。
② ~P→~Q≡太陽が西から昇らないならば、バカボンのパパは天才ではない。
といふ「仮言命題」に於いて、
②=③ である。
然るに、
(10)
常識」として、
~P≡太陽は西から昇らない(東から昇る)。
然るに、
(11)
(ⅱ)
1 (1) Q→P A
 2(2)  ~P A
12(3)~Q   12MTT
従って、
(08)~(11)により、
(12)
② Q→P≡バカボンのパパが天才であるならば、太陽が西から昇る。
といふ「言ひ方」は、
②  ~Q≡バカボンのパパは天才ではない。
といふ「言ひ方」に「等しい」。
然るに、
(13)
(ⅱ)
1 (1) Q→P A
 2(2)  ~P A
12(3)~Q   12MTT
に対して、
(ⅲ)
1 (1)   P A
1 (2)~Q∨P 1∨I
1 (3) Q→P 2含意の定義
 4(4)  ~P A
14(5)~Q   34MTT
である。
然るに、
(02)(13)により、
(14)
(ⅱ)
1 (1) Q→P A
 2(2)  ~P A
12(3)~Q   12MTT
(ⅲ)
1 (1)   P A
1 (2)~Q∨P 1∨I
1 (3) Q→P 2含意の定義
 4(4)  ~P A
14(5)~Q   34MTT
は、「仮定」そのものを、「左側」に書くならば、
(ⅱ)
Q→P   (1) Q→P A
    ~P(2)  ~P A
Q→P,~P(3)~Q   12MTT
(ⅲ)
  P   (1)   P A
  P   (2)~Q∨P 1∨I
  P   (3) Q→P 2含意の定義
    ~P(4)  ~P A
  P,~P(5)~Q   34MTT
従って、
(14)により、
(15)
(ⅱ)Q→P,~P(3)~Q 12MTT
(ⅲ)  P,~P(5)~Q 34MTT
は、それぞれ、「結論」としては、
② ~Q≡バカボンのパパは天才ではない。
③ ~Q≡バカボンのパパは天才ではない。
で「同じ」であっても、
② バカボンのパパが天才であるならば、太陽が西から昇る。然るに、太陽は西からは昇らない。故に、バカボンのパパは天才ではない。
③ 太陽は西から昇る。然るに、太陽は西からは昇らない。故に、バカボンのパパは天才ではない。
となるため、「論証」としては、「同じ」ではない。
然るに、
(16)
③ 太陽は西から昇り、尚且つ、太陽は西からは昇らない
といふことは、「矛盾(Contradiction)」に他ならない。
然るに、
(17)
 矛盾からは何でも証明できる
⊥(矛盾)がかかわる推論規則がもう一つあります。それは、という内容を持った推論規則で、その名も「矛盾」です。
(小島寛之、証明と論理に強くなる、2017年、164頁)
従って、
(16)(17)により、
(18)
(ⅱ)P,~P├ Q
(ⅱ)太陽は西から昇る。然るに、太陽は西からは昇らない。故に、バカボンのパパは天才ではない。
といふ「連式(推論)」は、「健全(sound)」ではないが、「妥当(valid)」である。
然るに、
(06)(09)により、

(19)
③(~P&P)→Q
③(太陽が西から昇らず、尚且つ、太陽が西から昇る)ならば、バカボンのパパは天才である。
は、「恒真式(トートロジー)」である。
然るに、
(20)
③(~P&P)
③(太陽が西から昇らず、尚且つ、太陽が西から昇る
といふ「矛盾」は、「恒に偽である」所の、「恒偽式(contradiction)」である。
然るに、
(21)
2 推論の規則
論理式 A と、論理式 A→B が共に真ならば、論理式 B も真である。
(沢田允、現代論理学入門、1962年、174頁)
然るに、
(19)(20)により、
(22)
③(~P&P)→Q
③(太陽が西から昇らず、尚且つ、太陽が西から昇る)ならば、バカボンのパパは天才である。
は「恒に真」であっても、
③(~P&P)
③(太陽が西から昇らず、尚且つ、太陽が西から昇る)
は「恒に偽」であるため、
A  ≡(~P&P)
A→B≡(~P&P)→Q
であるとして、
論理式 A   と、
論理式 A→B が共に真なる
といふことは、「絶対に無い」。
従って、
(18)~(22)により、
(23)
(ⅱ)~P,P├ Q
(ⅱ)太陽は西からは昇らない。然るに、太陽は西から昇る。故に、バカボンのパパは天才である。
といふ「連式(推論)」は、「妥当(valid)」であるが、だからと言って、この「推論」からは、
(ⅱ)バカボンのパパが天才である
といふことには、ならない
令和02年01月30日、毛利太。

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