2020年1月4日土曜日

「薬は、唐のはめでたし」の「述語論理」。

(01)
① 鼻は象の鼻長い。⇔
① ∀x∀y{(鼻xy&象y)⇔長x}⇔
① ∀x∀y{(鼻xy&象y)→長x&長x→(鼻xy&象y)}⇔
① すべてのxとyについて、xがyの鼻であって、yが象ならば、そのときに限って、xは長い。
(02)
② 薬は唐の薬良い。⇔
② ∀x∀y{(薬xy&唐y)⇔良x}⇔
② ∀x∀y{(薬xy&唐y)→良x&良x→(薬xy&唐y)}⇔
② すべてのxとyについて、xがyの薬であって、yが唐ならば、そのときに限って、xは良い。
(03)
③ 薬は唐の薬良い。⇔
③ ∀x∀y{(薬xy&唐y)→良x}⇔
③ すべてのxとyについて、xがyの薬であって、yが唐ならば、xは良い。
然るに、
(04)
【1】[が][
③ 体言を代用する。〈・・・・・のモノ〉
薬は、唐のはめでたし。 [訳]薬は中国のものはすばらしい。
(中村菊一、重点整理 基礎からわかる古典文法、1978年、154頁)
従って、
(03)(04)により、
(05)
③ 薬は、唐はめでたし。⇔
③ ∀x∀y{(薬xy&唐y)→素晴x}⇔
③ すべてのxとyについて、xがyの薬であって、yが唐ならば、xは素晴らしい。
に於いて、
③「の」=「の薬」
であって、
③「の」は「体言(薬)」の「代用」である。
従って、
(05)により、
(06)
「体言」の「代用」としての「」に関しては、前から、知ってゐて、何らの疑問も、持ってはゐない。
然るに、
(07)
 はしがき
日本語の文法的手段のうち、最も重要なのはテニヲハです。中でもハです。本書は、問題をその一つに絞って、日本文法の土台を明らかにしようとしたものです。代行というの中心概念の一つになっています。ガノニヲ代行する。というものです。
三上章
然るに、
従って、
(07)により、
(08)
③ 薬は、唐のはめでたし。
に於いて、
③「薬」は「何か」を「代行」してゐることになるものの、私には、
③「薬」が「薬は」以外の「何か」を「代行」してゐるとは、思へないし、「代用」してゐるとも、思へない。
従って、
(09)
代行というの中心概念の一つになっています。ガノニヲ代行する。というものです。
とはいふものの、「三上章 著、象は鼻が長い」を何度、読んでも、結局は、私には、「代行」といふ「言ひ方」が、何のことか、分からない。
(10)
「話」を、
② 薬は唐の薬良い。⇔
② ∀x∀y{(薬xy&唐y)⇔良x}⇔
② ∀x∀y{(薬xy&唐y)→良x&良x→(薬xy&唐y)}⇔
② すべてのxとyについて、xがyの薬であって、yが唐ならば、そのときに限って、xは良い。
に戻して、
②の「否定」を「計算」すると、(11)の通りである。
(11)
(ⅱ)
1      (1)~∀x∀y{(薬xy&唐y)⇔良x}              A
1      (2)~∀x∀y{(薬xy&唐y)→良x&良x→(薬xy&唐y)}  1Df.⇔
1      (3)∃x~∀y{(薬xy&唐y)→良x&良x→(薬xy&唐y)}  2量化子の関係(は、ド・モルガンの法則である。)
1      (4)∃x∃y~{(薬xy&唐y)→良x&良x→(薬xy&唐y)}  2量化子の関係(は、ド・モルガンの法則である。)
 5     (5)    ~{(薬ay&唐y)→良a&良a→(薬ay&唐y)}  A
  6    (6) ~{(薬ab&唐b)→良a}∨~{良a→(薬ab&唐b)}  5ド・モルガンの法則
   7   (7) ~{(薬ab&唐b)→良a}                 A
    8  (8)  ~(薬ab&唐b)∨良a                  A
    8  (9)   (薬ab&唐b)→良a                  8含意の定義
   78  (ア) ~{(薬ab&唐b)→良a}&
            {(薬ab&唐b)→良a}                 79&I
   7   (イ)~{~(薬ab&唐b)∨良a}                 8アRAA
   7   (ウ)  (薬ab&唐b)&~良a                  イ、ド・モルガンの法則
   7   (エ)  (唐b&薬ab)&~良a                  ウ交換法則
   7   (オ)  (唐b&薬ab)&~良a∨ ~(唐b&薬ab)&良a    エ∨I
     カ (カ)                ~{良a→(薬ab&唐b)}  A
      キ(キ)                 ~良a∨(薬ab&唐b)   A
      キ(ク)                  良a→(薬ab&唐b)   キ含意の定義
     カキ(ケ)                ~{良a→(薬ab&唐b)}&
                           {良a→(薬ab&唐b)}  カク&I
     カ (コ)               ~{~良a∨(薬ab&唐b)}  キケRAA
     カ (サ)                 良a&~(薬ab&唐b)   コ、ド・モルガンの法則
     カ (シ)                ~(薬ab&唐b)&良a    サ交換法則
     カ (ス)                ~(唐b&薬ab)&良a    シ交換法則
     カ (セ)  (唐b&薬ab)&~良a∨ ~(唐b&薬ab)&良a    ス∨I
  6    (ソ)  (唐b&薬ab)&~良a∨ ~(唐b&薬ab)&良a    67オカセ∨E
  6    (タ)  ∃y{(唐y&薬ay)&~良a∨~(唐y&薬ay)&良a} ソEI
 5     (チ)∃x∃y{(唐y&薬xy)&~良x∨~(唐y&薬xy)&良x} 56タEE
 5     (ツ)∃x∃y{(唐y&薬xy)&~良x∨~(唐y&薬xy)&良x} タEI
1      (テ)∃x∃y{(唐y&薬xy)&~良x∨~(唐y&薬xy)&良x} 15ツEE
(ⅲ)
1      (1)∃x∃y{(唐y&薬xy)&~良x∨~(唐y&薬xy)&良x}   A
 2     (2)  ∃y{(唐y&薬ay)&~良a∨~(唐y&薬ay)&良a}   A
  3    (3)     (唐b&薬ab)&~良a∨~(唐b&薬ab)&良a    A
   4   (4)     (唐b&薬ab)&~良a                 A
   4   (5)     (薬ab&唐b)&~良a                 4交換法則
    6  (6)     (薬ab&唐b)→ 良a                 A
   4   (7)     (薬ab&唐b)                     5&E
   46  (8)               良a                 67MPP
   4   (9)              ~良a                 4&E
   46  (ア)           良a&~良a                 89&I
   4   (イ)    ~{(薬ab&唐b)→良a}                6アRAA
   4   (ウ)  ~{(薬ab&唐b)→良a}∨~{良a→(薬ab&唐b)}   イ∨I
     エ (エ)                 ~(唐b&薬ab)&良a     A
     エ (オ)                 ~(薬ab&唐b)&良a     エ交換法則
      カ(カ)                   良a→(薬ab&唐b)    A
     エ (キ)                   良a             オ&E
     エカ(ク)                      (薬ab&唐b)    カキMPP
     エ (ケ)                 ~(薬ab&唐b)        カ&E
     エカ(コ)            (薬ab&唐b)&~(薬ab&唐b)    クケ&I
     エ (サ)                   ~{良a→(薬ab&唐b)  カコRAA
     エ (シ)    ~{(薬ab&唐b)→良a}∨~{良a→(薬ab&唐b)} サ∨I
  3    (ス)    ~{(薬ab&唐b)→良a}∨~{良a→(薬ab&唐b)} 34ウエシ∨
  3    (セ)    ~{(薬ab&唐y)→良a &  良a→(薬ab&唐b)} ス、ド・モルガンの法則
  3    (ソ)  ∃y~{(薬ay&唐y)→良a&良a→(薬ay&唐y)}    セEI
 2     (タ)  ∃y~{(薬ay&唐y)→良a&良a→(薬ay&唐y)}    セEI 23ソEI
 2     (チ)∃x∃y~{(薬xy&唐y)→良x&良x→(薬xy&唐y)}    セEI
1      (ツ)∃x∃y~{(薬xy&唐y)→良x&良a→(薬xy&唐y)}    12チEE
1      (テ)∃x~∀y{(薬xy&唐y)→良x&良x→(薬xy&唐y)}    ツ量化子の関係(は、ド・モルガンの法則である。)
1      (ト)~∀x∀y{(薬xy&唐y)→良x&良x→(薬xy&唐y)}    テ量化子の関係(は、ド・モルガンの法則である。)
1      (ナ)~∀x∀y{(薬xy&唐y)⇔良x}                トDf.⇔
従って、
(11)により、
(12)
② ~∀x∀y{(薬xy&唐y)⇔良x}
③ ∃x∃y{(唐y&薬xy)&~良x∨~(唐y&薬xy)&良x}
に於いて、すなはち、
② すべてのxとyについて、xがyの薬であって、yが唐ならば、そのときに限って、xは良い。といふわけであない。
③ あるxとyについて、yは唐であって、xはyの薬であるが、xは良くないか、yは唐であって、xはyの薬である、ではないが、xは良いか、または、その両方である。
に於いて、
②=③ である。
然るに、
(13)
② すべてのxとyについて、xがyの薬であって、yが唐ならば、そのときに限って、xは良い。といふわけであない。
③ あるxとyについて、yは唐であって、xはyの薬であるが、xは良くないか、yは唐であって、xはyの薬である、ではないが、xは良いか、または、その両方である。
といふことは、
③ 唐の薬であっても、良くない薬はあるし、唐の薬でなくとも、良い薬はある。
といふ、ことである。
従って、
(10)(13)により、
(14)
② 薬は唐の薬良い。といふわけではない。
③ 唐の薬であっても、良くない薬はあるし、唐の薬でなくとも、良い薬はある。
に於いて、
②=③ である。
然るに、
(15)
② 薬は唐の薬良い。といふわけではない。
③ 唐の薬であっても、良くない薬はあるし、唐の薬でなくとも、良い薬はある。
に於いて、
②=③ である。
といふことは、確かに、さうである。
従って、
(10)~(15)により、
(16)
② 薬は唐の薬良い。⇔
② ∀x∀y{(薬xy&唐y)⇔良x}⇔
② ∀x∀y{(薬xy&唐y)→良x&良x→(薬xy&唐y)}⇔
② すべてのxとyについて、xがyの薬であって、yが唐ならば、そのときに限って、xは良い。
といふ「等式」は、「正しい」。
令和02年正月04日、毛利太。

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